1. 「NHKから国民を守る党」が朝霞市議選で議席を獲得

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2015年12月07日 (月曜日)

「NHKから国民を守る党」が朝霞市議選で議席を獲得

わたしが在住する埼玉県朝霞市の市議会議員選挙の投票と開票が6日に行われた。予想外だったのは、「NHKから国民を守る党」が議席を獲得したことである。同党の大橋昌信氏が1278票を獲得して当選した。

「NHKから国民を守る党」は、マスコミでは、「諸派」に分類される。「諸派」の候補者が当選した例は、地方選挙でも国政選挙でもきわめて少ない。諸派を、変わり者あつかいするひとが多いからだ。

◇日本型のアメリカンドリームとNHK

「NHKから国民を守る党」は、もともとNHKによる受信料の集金時のマナーの悪さを問題視する意識から誕生したようだが、NHKは報道内容でも大きな問題を抱えている。メディアリテラシーを少し勉強すると、NHKが政府による国策放送であることがはっきりとわかる。安倍政権が進めている新自由主義の考え方に国民を誘導している。

たとえば最近は、番組のさまざまところで「創意」や「工夫」を奨励する内容が目立つ。NHK番組を見ていると、「創意」や「工夫」をこらせば、だれでも起業に成功して、豊かな生活を手に出来るような錯覚を受ける。いわばアメリカン・ドリームとまったく同じ幻想を振りまいているのだ。

哲学者の柳田謙十郎の言葉を借りれば、これが「ブルジョア思想」と呼ばれる空気のような洗脳である。社会の発展や個人の幸福は、個々人の心がけにより決定されるという観念論哲学を基調とした考えである。今、それがメディアを通じて急激に広がっている。

しかし、社会の発展や個人の幸福は、実は客観的な条件を変革することなしにはあり得ない。少なくともそれに着手するのが政治の役割である。

新自由主義というシステムの下では、非正規労働者がいくら心がけを良くして、創意や工夫をこらしても、豊かな生活を手に入れることは不可能に近い。たとえ成功者が生まれても、それはほんの一握りである。むしろ例外である。客観的な社会体制そのものが万人を幸福にする制度にはなっていないからだ。

が、そうであればあるほどメディアは本質を覆い隠し、多くの若者を日本型のアメリカン・ドリームに導いていく。そうしなければ、新自由主義が崩壊するからだ。

NHKの職員は、自分たちの言動が日本全体にどのような負の影響を及ぼしているのか自覚すべきだろう。