1. 安田純平氏の「失踪」から4カ月、まったく報じられない背景に特定秘密保護法と「テロリストと交渉しない」米国政府の方針か?

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2015年10月21日 (水曜日)

安田純平氏の「失踪」から4カ月、まったく報じられない背景に特定秘密保護法と「テロリストと交渉しない」米国政府の方針か?

ジャーナリストの安田純平氏が消息を絶って昨日で4カ月が過ぎた。安田氏は6月20日に次のツイッターを最後に行方が分からなくなっている。

 これまでの取材では場所は伏せつつ現場からブログやツイッターで現状を書いていたが、取材への妨害が本当に洒落にならないレベルになってきているので、今後は難しいかなと思っている。期間限定の会員制で取材経過までほぼリアルタイムで現場報告することも考えてたが、危険すぎてやっぱり無理そう。

■出典=安田氏のツイッター

安田氏の消息不明に関しては、7月に産経新聞などほんの少数のメディアが簡単に報じただけで、その後、まったくニュースが掲載されない。

海外のメディアは、米国のニューヨークタイムスが3回にわたって報じたが、やはり続報が途絶えている。メキシコのラ・ホルナダ紙などラテンアメリカの数社は、1度だけこのニュースを報じた。

もっとも海外メディアは、安田氏の母国のメディアではないので、ニュースの中断はある意味ではやむを得ない側面もあるが、日本のメディアがまったくこの件にタッチしないのはどう考えても異常だ。

◇「テロリストと交渉しない」米国の方針に追随か

かつて日本のメディアは人質事件が起こると、一斉に飛びついた。2004年に高遠菜穂子氏など3人の日本人がイラクで拘束された時は、連日のように報じた。最近では、後藤健二氏らが人質に取られて殺害された事件を連日のように伝えた。

ところが安田氏が巻き込まれたと思われる人質事件に関しては、これまでの報道姿勢とは180度異なっている。従ってこの事件については推測の範囲でしか論評できないが、わたしは報道されない背景に、「テロリストとは交渉しない」とする米国の方針に日本政府が盲従している事情があるのではないかと思う。

さらに安田氏に関する情報が、特定秘密保護法に指定されている可能性が高く、誘拐犯と政府の間でどのような接触があったかに関する情報すらも完全に遮断されているのかも知れない。従ってメディアも記者クラブから情報を得ることができない。現地へ潜入する気など毛頭ない。

結局、何も報じられないまま、延々と放置されているのではないだろうか?

しかし、この事件が報じられない背景を報じることはできるはずだ。取材のプロセスを報じるのが報道の原則ではないが、時にはそれも必要ではないか?

4カ月も消息を絶っている事実はきわめて重い。