1. 衆院選、共産、社民、国民の生活が第一に期待、進むメディアによる世論誘導

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2012年11月27日 (火曜日)

衆院選、共産、社民、国民の生活が第一に期待、進むメディアによる世論誘導

衆院選の告示を前にしたマスコミの選挙報道に接していると、有権者には次ぎの3つの選択肢しかないような印象を受ける。

1,自民党・公明党

2,民主党

3,第3極

このうち「第3極」は、依然として構成メンバーをめぐる駆け引きが続いているが、これまでのところ石原氏と橋下氏を中心とした維新の会と、亀井氏を中心とする「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」が輪郭を明確にしている。

11月19日、わたしはTWITTERで次のように書いた。

「マスコミの選挙報道は、日本には3つの選択肢しかないかのように世論を誘導している。しかも、この3者は、根本的には大きな違いがない。「改革」といっても、しょせんは「コップの中の嵐」。フランク革命でも、明治維新でもない。それだけ日本人の器が小さくなった証なのかも知れない。」

これに対して読者から次のような反応があった。

「小さくなったのは権益者の器。既得権益者には3つの選択肢しかないだけの事」

この読者が指摘したように、日本のマスコミが投票先の選択肢と位置づけているのは、経済面で日本社会を牛耳っている「財界にとっての3つの選択肢」でしかない。

◇騙される理由  

この20年は、メディアによる洗脳に国民が騙され続けた時代である。まず、1993年の政変に騙された。これは実は、自民党よりも急進的に新自由主義を導入しようとした人々による政変だった。その先頭に立ったのは、自民党を飛び出した小沢一郎氏だった。

これにあわてた自民党は、社会党と共闘して政権を奪い返した。そして新自由主義へ舵を切るが、集票田が農業者や中小企業の経営者だったために、思い切った新自由主義の政策が取れない。橋本、小渕、森ともたついた。

そこへ彗星のごとく登場したのが小泉氏だった。小泉氏はなさけ容赦なく、新自由主義を導入。日本に本格的な格差社会が生まれた。雇用形態も変化した。社会の隅々から矛盾が吹き出して、改革を求める世論が強くなった。

その受け皿となったのが民主党である。 ? こうした時代の節々でメディアは常に世論を誘導する「役割」を担ってきた。 しかも、政権が交代すれば、日本が劇的に変化するかのような幻想を振りまいてきた。

が、「改革」は常に失敗した。 ? たとえば民主党政権の最初の首相である鳩山氏は、沖縄の普天間基地を最低でも県外へ移設する公約を掲げながら、実現できずに野に下った。

なぜ、出来なかったのか?鳩山氏の心がけが不十分で、政治家としての使命感が不足していたからだろうか?あるいは鳩山氏よりも、もっと有能でガッツのある民主党員が首相になっていれば、公約を実現することが出来たのだろうか。答えは否だ。

鳩山氏が公約を守れなかったのは、鳩山氏が所属する民主党が財界やご用組合によって支えられているからに過ぎない。

公約を実現できるか否かを見極める最大のポイントは、各政党が日本のどのような階層の代表なのかを知ることだ。政治資金収支報告書を調査すれば、それはかなり具体的に分かる。

物事を見極める時に、より重視しなければならないのは、客観的な事実である。各政党の資金源を客観的に検証することが大事だ。

今回の参議院選挙では、原発やTPPが争点になりそうだ。わたしは財界から支援を受けている政党が、脱原発や反TPPを政策にかかげても信用しない。実現できるはずがないと考えている。

「自民・公明」、「民主」、「第3極」しか選択肢を提案できない日本のマスコミは、あまりにも政治の見方が一面的だ。世界全体の流れを読んでいない。

◇新自由主義からの脱却

今、世界で最先端を走っている地域は、ラテンアメリカである。この地域をひいき目に見ているわけではない。

たとえば『中南米が日本を追い抜く日』(朝日新書)という本がある。これは三菱商事の駐在員らが書いた体験記である。左翼が主流となったラテンアメリカが経済面でもいかに健全に成長を続けているかを、日本の大企業ですら認めざるを得なくなっている。

これは日本の進路を考えるうえでひとつのヒントになるのではない。

ラテンアメリカとはどのような地域なのだろうか。この地域は、それぞれの国の特殊性はあるが、1980年代ごろまで、軍部が非常な権限を持って米国の権益を防衛する構図があった。傀儡(かいらい)政権があたりまえだった。

ラテンアメリカがチリを筆頭に新自由主義の実験場にされたことは周知の事実である。その結果、経済格差がどんどん広がった。

こうした流れに抗して活発化した社会運動は、軍事政権を終結させた。そして議会制民主主義が浸透してくると一気に激変が起こった。今世紀に入るころから、次々と左翼政権が誕生して、新自由主義から脱却していったのである。

今や米国は、軍事介入できなくなっている。

日本の現状とラテンアメリカの現状を同一視することはできないが、新自由主義からの脱却という歴史の流れは同じだ。それ以外の選択肢はおそらくないだろう。現在の新自由主義に修正を加えても、これだけ格差が開いてしまえばどうすることもできない。

「日本丸」を沈没させないためには、新自由主義からの脱却が不可欠だ。

ところが今回の選挙でも、マスコミは新自由主義の路線を改めない政党ばかりに光を当てている。つまり財界のために世論を誘導しているのだ。マスコミ自体が財界をスポンサーにもった企業であるからだ。

期待できる政党は、共産、社民、国民の生活が第一、ぐらいではないだろうか?

とくに社民党は共産党と共闘すべきだ。それがみずからの勢力を回復する唯一の道ではないだろうか。国民の生活が第一については、注視していきた。