2017年11月14日 (火曜日)
信用はできない、新聞人とテレビ人による世論調査の数字、完全なフェイクニュースが成立する温床が
産経新聞の報道によると、安倍内閣の支持率が不支持率を上回った。
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)は11、12両日に合同世論調査を実施した。安倍晋三内閣の支持率は47・7%で、前回調査(10月14、15両日)から5・2ポイント上昇した。不支持率は前回比3・9ポイント減の42・4%で、2カ月ぶりに支持率が不支持率を上回った。■出典
読者は、世論調査の数字にどの程度の信頼をおいているだろうか。安倍内閣に批判的な立場を取っている筆者としては、支持率が下がれば嬉しく、上がれば残念な気持ちがする。が、それは一次的な心の浮き沈みで、基本的にはメディア企業による世論調査は信用していない。
世論誘導するために、政界や財界と暗黙の情交関係を前提として、新聞人が、あるいはテレビ人が数字を捏造している可能性を疑っている。調査の裏付けが公表されないことが疑惑の根拠である。完璧なフェイクニュースが成立する温床があるのだ。数字を捏造しても誰も知りようがない。
政府広報費(新聞広告やテレビCM)は、内閣府分だけでも、年間で50億円を超えており、報道内容そのものが、政府よりになったり、政府に都合のよいデータが公表されていると考えるのが妥当だ。これが日本の権力構造を構成する勢力による連携した世論誘導なのだ。
メディア関係者による世論調査がいかにデタラメかを示すひとつの例を紹介しよう。
◇新聞協会と時事通信の関係
日本新聞協会は2012年11月に、「消費税が引きあげられた際の軽減税率導入について」の世論調査を実施した。そして、国民の8割が生活必需品に対する軽減税率適用を求め、新聞・書籍に対しても、その4分の3が賛成しているという結果を発表した。これを根拠として、新聞人たちは新聞に対する軽減税率の適用を求める世論形成に邁進したのである。
■調査結果
ところがこの調査について筆者が調べたところ、とんでもない事実が判明した。この調査は、実は新聞業とは関係のない第3者が実施したものではなく、中央調査社という時事通信に近い会社に委託したものだった。中央調査社の正体が分からない読者は、この調査が公平中立なものであると勘違いしかねない。
中央調査社の社長は、時事通信の大室真生社長である。また、中央調査社の支部の所在地は、次のようになっている。
札幌支社(時事通信社内)
仙台支社(時事通信社内)
名古屋支社(時事通信社内)
大阪支社(時事通信社内)
広島支社(時事通信社内)
福岡支社(時事通信社内)
支部はすべて時事通信の中に置かれているのだ。
改めて言うまでもなく、時事通信は日本新聞協会のメンバーである。つまり「消費税が引きあげられた際の軽減税率導入について」の世論調査は、第3社が実施したのではなく、新聞に対する軽減税率導入を強く求めている新聞人が実施したのも同然なのだ。当然、みずからに都合のいい数字を捏造した可能性が生じる。この種の調査は、第3者が実施するのが道理なのだ。
日本新聞協会は、「押し紙」問題で明らかなように、新聞の実配部数を平気で捏造して発表してきたわけだから、世論調査の数字を捏造しても、良心の呵責は感じていないだろう。
【写真】日本新聞協会