1. 公権力の介入に鈍感なメディア関係者、本来抗議すべき2つの大問題、内閣官房が東京新聞へ宛てた抗議文、「Jアラート」の垂れ流し

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2017年09月15日 (金曜日)

公権力の介入に鈍感なメディア関係者、本来抗議すべき2つの大問題、内閣官房が東京新聞へ宛てた抗議文、「Jアラート」の垂れ流し

メディア関係者が政府に抗議しなければならない問題が、現時点で、少なくとも2件ある。まず、第一は、東京新聞の望月記者の質問に対して、内閣官房が同社へ抗議文を送付したことに対する反論である。

東京新聞も日本新聞協会も、いまだに抗議していない。望月氏が所属する記者クラブについても同じことが言える。厳重に抗議すべきなのだ。

内閣官房が抗議文書を送付したこと自体は、意見の表明であるから何の問題もないが、その内容に納得できないのであれば、反論すべきなのだ。反論しなければ、内閣官房の言い分を認めたことになる。反論していないことこそが大きな問題なのだ。

羊のように穏便に振る舞えば、同じことがまた繰り返されるだろう。そして言論の萎縮は、どんどん進んでいくだろう。

◇「Jアラート」によるメディアへの介入

メディア関係者が政府に抗議しなければならない第2の問題は、「Jアラート」をめぐる扱いである。テレビ局は、「Jアラート」のオン・エアーを当然の任務と考えているようだ。しかし、「Jアラート」は政府の情報にほかならない。

政府が放送局に対して、たとえば北朝鮮のミサイル発射に関する緊急情報を提供するのは自由だ。制限もすべきではない。問題は、むしろ放送局の側にある。政府が提供した情報をそのまま垂れ流すのは、ジャーナリズムではない。本来、どのようなかたちで、ミサイル発射を報じるかは、局によって異なっていなければおかしい。

放送局はこの点でみずからの立ち位置を明確にしておかなければ、緊急放送の内容がどんどんエスカレートしたとき、世論誘導の道具に変質しかねない。たとえば、緊急放送で「デモが発生しているから、外出を控えてください」という事にもなりかねない。

北朝鮮のミサイル・核問題は、日本の軍事大国化に悪用されているだけではなく、メディアの統制を進めるプロセスでも巧みに悪用されているのである。

ところがメディア関係者から、「Jアラート」について、そのあり方を再考しようという声はあがっていない。

ちなみにNHKの受信料に関して、「Jアラート」などの情報提供料金としての意味があるので、支払いの義務化は当然という意見もある。

◇15日に、「Jアラート」を発信

9月15日(本日)にも、「Jアラート」が発信された。ヤフーに表示された「Jアラート」は次のようなものである。

 【発表時間】
2017年09月15日 7時07分
 政府発表

 【内容】
ミサイル通過。ミサイル通過。先程のミサイルは、北海道地方から太平洋へ通過した模様です。不審な物を発見した場合には、決して近寄らず、直ちに警察や消防などに連絡して下さい。

【対象地域】
 北海道
 青森県
 岩手県
 宮城県
 秋田県
 山形県
 福島県
 茨城県
 栃木県
 群馬県
 新潟県
 長野県

 

【写真】東京新聞本社