1. ジャーナリズムになり得ない ソーシャルメディア(SNS)

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2017年08月11日 (金曜日)

ジャーナリズムになり得ない ソーシャルメディア(SNS)

メディアについて語るとき、SNSを無視できない状況が生まれている。その影響力は想像以上に大きい。たとえば安倍晋三首相は、SNSにより実質的に再起不能なダメージを受けている。自業自得であるが。

加計学園事件に関するツイッターの投稿をまとめた次のページを見てほしい。

加計学園に関するツィート

安倍内閣やその関係者を批判した投稿が延々と出てくる。これらの投稿が「リツイート」により拡散される。「リツイート」の回数が1000回、時には1万回を超えている投稿も決して少なくない。

毎日、このようなかたちで安倍批判が繰り返されると、ボディーブローのようなダメージを受けて、立ち上がれなくなる。

◇メディアの信頼性とSNS

しかし、メディアを専門職としている人は、あまりSNSの投稿を重視していないようだ。依然として既存のメディアによる影響力こそが重要と考える傾向がある。

それはある面では真理である。たとえば加計学園の問題に国会質問の火が付いたのは、既存の大メディア(新聞・テレビ・雑誌・大手のウエブサイト)が本格的にこの問題を報道するようになったのちである。特に高齢者は、既存メディアの方が信頼性がより高いと考える傾向がある。信頼度ではSNSよりも既存メディアの方が上なのだ。

事実、SNSの投稿の中には、裏付けが不十分なものも含まれている。メディアの仕事を専門としていない人々の投稿が大半を占めるわけだから、そういう傾向になるのだ。衝動にかられて書いた短絡的な投稿もある。

逆に裏付けが取れている投稿は、既存メディアの記事で書かれた内容を紹介したものが多い。特定の記事を貼り付けて、紹介するケースもある。

このように考えると、やはり既存のメディア(大手ウエブサイトも含む)がジャーナリズムの中心を占めていることになる。専属記者が記事を書こうが、フリーライターが記事を書こうが、既存メディアに掲載された記事の内容がSNSで広がって、安倍政権に壊滅的な打撃を与えているのが実情と言えよう。

◇SNSの限界と利用方法

近年、市民ジャーナリズムの意義が強調されるようになっている。ところが困ったことに、SNSを市民ジャーナリズムと勘違いしている人が意外に多い。

ジャーナリズムというからには、調査報道が基本である。そのためには記事を公表するウエブサイトを構築しなければならない。そのうえで裏付けのある記事を書いて、SNSでそれを拡散するのが正しい方法だろう。

SNS、特にツイッターの場合、投稿の字数が140文字に限定されているので、裏付けのある正確な記述をすることはほぼ不可能だ。調査報道には適さない。これでは、SNSの投稿が拡散しても、ジャーナリズムとしての信頼は得られない。基本は、裏付けのある正確な記事なのだ。

ちなみに既存メディアは、森友学園や加計学園の事件では、質の高い報道を続けているが、報道しなければならないのに、ほとんど報道していない問題はまだまだ残っている。

たとえば、加計事件と同じ構図の国際医療福祉大学(千葉)の事件である。東京晴海の五輪選手村用地の「叩き売り」事件である。内閣府や中央省庁で、インボイスナンバーを外した請求書が数十億単位で見つかっている事件(裏金疑惑)である。「押し紙」による環境破壊の問題である。新世代の公害である電磁波問題である。