1. 北朝鮮「有事」報道の背景に米国の軍事産業の利権、メディアを巻き込んだ巧みな世論誘導

マスコミ報道・世論誘導に関連する記事

2017年05月09日 (火曜日)

北朝鮮「有事」報道の背景に米国の軍事産業の利権、メディアを巻き込んだ巧みな世論誘導

米国・日本・韓国の3国と北朝鮮の間で戦争が勃発する可能性はあるのだろうか。5月に入って、北朝鮮有事の報道はやや下火になったが、それまでは、いまにも戦争が勃発するかのような報道が氾濫していた。しかも、新聞・テレビだけではない。雑誌からインターネットメディアまでが、トランプ政権の強権的な姿勢と、北朝鮮の脅威を報じ、国民の不安を煽った。

が、結局はなにも起こらなかった。おなじような現象が以前にもあった。尖閣列島や竹島の領土問題で戦争の火ぶたが切られそうな空気がつくられた。これも結局は何も起こらなかった。冷静に考えれば、当然だ。日米にとって最大の防衛相手国・中国に戦争をしかけて最も打撃を受けるのは、日米の財界であるからだ。

大半の人は気づいていないが、これが国策プロパガンダの実態なのだ。北朝鮮や中国が日常的に行っている軍事開発についての動きを、特定の期間に大量にたれながす。その結果、それが平和を脅かす新たな動き、新たな脅威であるかのように錯覚してしまう。

◇メディアの大罪

このような世論誘導の手法はなにも軍事面に限ったことではない。メディアの現場では日常的に行われている。たとえば少年による殺人事件や傷害事件のニュースを連続して流すと、近年、非道な少年犯罪が急増しているような錯覚を誘発する。が、少年犯罪の件数がもっとも多かったのは、実は終戦まもない時期で、近年は従来に比べると激減している。相対的には減っている。情報操作ひとつで、情報を受け取る側は、少年犯罪が増えていると錯覚する。

年金の不正自給者についてのニュースを連続して流すと、不正自給が急増したような錯覚を受ける。が、こんなものは昔からあった。この機会を狙って、国会では福祉を縮小する方向性が打ち出される。この種の連携プレーは常々起きている。

本来、ジャーナリズムの役割は、このような洗脳や世論誘導を見破り、真実を知らせることなのである。その意味では、日本のジャーナリズムはほとんど機能していない。ニュースのラインアップを見ても、ほんの一部のメディアを除いて、他人のプライバシーを暴くものや、タレントの動向など、実はどうでもいい不要なニュースばかりが並んでいる。

◇戦争広告代理店

情報操作により誰が最も大きな利益を受けているのだろうか。
北朝鮮有事の報道を例にすれば、それは軍事産業を押し進める企業である。政治家が北朝鮮に対抗するために、軍事大国化の方向で動いてくれるからだ。特に米国のトランプ政権とつながった軍事産業だ。日本、韓国、フィリピンなどが、米国から武器を購入させられる構図となる。

ニュースを利用したこのような世論誘導には、しばしば広告代理店が絡んでいることがある。たとえばボスニア紛争の背景にアメリカのPR企業の策略があったことは有名だ。PR企業がメディアに、世論誘導を目的とした記事を書かせていたのである。一種のフェイク・ニュースである。

北朝鮮有事の報道の背景に、ボスニア紛争時と同類のPR企業の戦略があったかどうかは知らないが、世論誘導そのものは、国家予算を広報・宣伝費として広告代理店に投入すれば、簡単にできる。日本のマスコミはNHKに象徴されるように公権力から独立していないからだ。安倍首相と会食する仲にあるからだ。

◇人間ロボットを生産する「工場」-日本の学校

日本人は極めて洗脳されやすい民族である。堀江貴文氏の『すべての教育は「洗脳」である』(光文社新書)によると、日本の場合、学校教育の本質的な目的は、社会に都合のいい人間に洗脳することなのだという。学校は、人間ロボットを多量に生産する「工場」だという。
それがどのようなロボットかといえば、目上の人の言葉をそのまま鵜呑みにするロボットである。何の疑問も感じずに、教師の言葉を信じ込む。当然、優秀なロボットは学校の成績も優秀だ。その優秀なロボットがマスコミや政界や企業で働いているのである。

こうした教育制度があるために、日本では物事の真実を見抜いて自分の意見を表明する人間は育たない。それよりも「神の言葉」を鵜呑みにする。そういう人間のほうが旧世代の企業社会では使い勝手がいいからだ。

ところがその弊害は想像以上に大きい。自分で考える力が欠落しているから、メディアによる世論誘導のえじきになってしまうのだ。このような構図には、メディア自身も気づいていない。

事実、共謀罪に関する無知などは、その最たる例だろう。