1. NHKなどが実名で警察情報の垂れ流し、えん罪の温床、松戸市の女児殺害事件の報道

マスコミ報道・世論誘導に関連する記事

2017年04月19日 (水曜日)

NHKなどが実名で警察情報の垂れ流し、えん罪の温床、松戸市の女児殺害事件の報道

千葉県松戸市で起きた女児殺害事件の報道に接していると、世論誘導の恐ろしさを感じる。新聞やテレビが垂れ流しているのは、警察が発表した情報である。それにもかかわらず、新聞読者やテレビ視聴者の大半は、逮捕された男性が犯人だと思いこんでいる。もちろん、その可能性もあるが、間違っている可能性もある。

男性が拘束され、外部と接触できない現段階では、何が真実なのかは不明なのだ。世論誘導は空気のように存在感がない。逆説的に言えば、その正体が分かりにくいから、世論誘導が可能になるのだ。

警察発表の信憑性を検証することが、ジャーナリズムの重要な役割のひとつであるのに、新聞もテレビも最初からその役割を放棄している。警察発表が真実という大前提に立って情報を発信しているのだ。これほど恐ろしい現象はないだろう。記者クラブの弊害である。

かりに警察が嘘の情報を流していれば、この事件はえん罪事件になってしまう。現時点では、匿名報道するのが原則なのだ。日本のメディア(新聞・テレビ)は、ここまで劣化している。

◇警察は信用できるのか?

狭山事件についてご存じだろうか。1963年に埼玉県狭山市で高校1年生の女性徒が殺された事件で、被差別部落の石川一雄氏が逮捕された事件である。
えん罪の可能性が極めて高く、現在も再審を求める運動が展開されている。

この事件の直前に、「よしのぶちゃん誘拐事件」が起き、警察の失策で犯人を取り逃がし、批判されたことが、石川氏がでっちあげられた原因だといわれている。

最近では、和歌山カレー殺人事件もえん罪という説がある。犯行に使われたヒ素と容疑者の自宅から見つかり、逮捕の根拠とされたヒ素の種類が異なっていたことが分かっている。

警察の不祥事は、想像以上に多い。フリーランス記者に対しては、絶対に情報を提供しないといっても過言ではない。欧米に比べて捜査能力も低い。前近代的な組織で、情報の信憑性もとぼしいのが実態なのだ。

メディアの中には、警察と極めて親密な関係を維持している社もある。読売新聞社である。同社は、「おまわりさん作文コンクール」を主催するなど、警察のイメージアップに「貢献」している。

■「おまわりさん作文コンクール」

この作文コンクールもひとつの洗脳の手口にほかならない。

警察が発表する情報を鵜呑みにして、報道活動するのは無責任きわまりない。

松戸市の事件で逮捕された男性が、法廷でえん罪を訴えても、メディアによって作られた犯人のイメージを払拭するのは容易ではない。