「法律事務所への司法官僚の天下り次々と浮上」の記事をめぐる「天下り」という言葉について(全文公開「続きをよむ」をクリック)
読売の代理人(黒薮裁判、清武裁判、七つ森書館裁判)を務める弁護士らが所属するTMI総合法律事務所へ「天下り」しているのは次の方々である。
泉徳治 元最高裁判所判事・東京高等裁判所長官
頃安健司 元大阪高等検察庁検事長
三谷紘 元公正取引委員会委員・横浜地方検察庁検事正
相良朋紀 元広島高等裁判所長官
今井功 元最高裁判所判事・東京高等裁判所長官
塚原朋一 元知的財産高等裁判所長
樋渡利秋 元検事総長
才口千晴 元最高裁判所判事
マイニュースジャパンに「法律事務所への司法官僚の天下り次々と浮上」の記事を掲載したところ、読売はわたしが原告になっている対読売裁判の準備書面で次のような的外れな批判を展開してきた。準備書面の作成者は、喜田村洋一弁護士(自由人権協会代表理事)らである。
「天下り」とは、広辞苑によれば「下の者の意向や都合を考えない、上からの一方的なおしつけ。特に、官庁で退職後の幹部などを民間会社や団体などに受け入れさせること」とされ、この記事で「天下り」という文言を使えば、裁判所が大手の法律事務所に定年や退官を迎えた裁判官の再就職を強要していることになるが、そのような事実はまったくない。
しかし、「天下り」という言葉は広義に使われており、たとえば『大辞林』には、次のような定義も掲載されている。
高級官僚が退職後、勤務官庁と関連の深い民間会社や団体の高い地位につくこと。
言葉の定義は実生活の中で徐々に変化する。読売のように言葉の定義を固定的に捉えるのは、言葉の性質をよく理解していない証である。
現在ではむしろ『大辞林』の定義が一般化している。
ちなみに読売弁護団が主張するように「退官を迎えた裁判官の再就職を強要」することが「天下り」の定義だとすれば、「強要」を立証できない限りは、「天下り」には該当しないことになる。読売は『広辞苑』の定義を持ちだすことで、日本の「天下り」問題に蓋をしよとしている。
それはちょうど「押し紙」の定義を押し売りされた新聞と主張することで、
「押し紙」は1部もないと主張してきた論法に類似している。このような論法が次元の低い揚げ足取りであることは言うまでもない。
ちなみに司法関連の国家公務員が退官後、弁護士として法律事務所へ再就職する行為は全面的に禁止すべきだというのがわたしの考えだ。