1. 日弁連の政治団体から自民、民主、公明、維新、みんな、生活の議員に850万円の政治献金 

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2014年06月09日 (月曜日)

日弁連の政治団体から自民、民主、公明、維新、みんな、生活の議員に850万円の政治献金 

日弁連が設けている政治団体から、政界に対して総額850万円の政治献金が行われていたことが分かった。

昨年の11月に公開された2012年度の政治資金収支報告書によると、日弁連の政治団体である日本弁護士政治連盟は、総額850万円の政治献金を自民党、民主党、公明党、みんなの党、「国民の生活が第一」、それに日本維新の会の6党に所属する約100名の議員に支出している。

献金先の大半は、議員が支部長を務める政党支部の住所になっているので、調査しなければ、議員名を特定できないが、実名が明記されている有力議員は次の方々である。

えだの幸男(民)

菅直人(民)

岡田克也(民)

山花郁夫(民)

仙石由人(民)

平野博文(民)

稲田朋美(自)

太田昭宏(公)

漆原良夫(公)

平沼赳夫(維新)

献金の名目は、いずれも「寄附」である。詳細は次のPDFの通りである。

■政治資金収支報告書

◇ 遠のくスラップ禁止法

献金の目的を特定することはできないが、一般論からいえば、献金元の業界に有利な政策を望んで、金銭を支出する。法的に違法性はないが、政治倫理の問題にかかわるあるまじき行為である。国民の側からすれば、献金が原因で人権をないがしろにする法律を施行されたり、必要な法律の成立を妨げられることにもなりかねない。

たとえばスラップを禁止する法律の制定を求める一定の世論があるが、政治献金を受けた政治家は、この種の法律の制定には尽力しない可能性が高い。名誉毀損訴訟で「稼ぐ」弁護士が存在するからだ。スラップ禁止法は、「訴訟ビジネス」の敵にほかならない。

名誉毀損裁判は、「訴えた者が勝ち」と言われるほど、原告が有利な法理になっている。そのために高額の名誉毀損訴訟の「請負人」になり、収入を得ている弁護士もいる。もちろん、こうした「訴訟ビジネス」は、モラルが欠落した一部の弁護士の得意分野であるが、弁護士人口が増えすぎた現在の状況の下で、今後、稼ぎ口になる危険性がある。

参考記事:政界進出狙う宇都宮健児氏、日弁連も政界へ献金 献金先の政治家同士で国会質疑の茶番劇も 

◇請求額の高額化  

名誉毀損裁判の賠償請求額や賠償額が高額化していることは周知の事実である。たとえば最近では、ユニクロが文春に請求した2億2000万円の訴訟やレコード会社31社が作曲家・穂口雄介氏に請求した2億3000万円の訴訟などが起きている。その他、武富士、オリコン、読売といった企業が個人に対して5000万円、1億円といった規模の高額訴訟を起こしてきた。

わたしの場合は、読売(渡邊恒雄主筆)から総額で約8000万円を請求された。

文章表現にはトリッキーな要素があり、たとえば新聞は「1億円の賠償金を請求した」と書くが、次のような表現に置き換えた方が、異常な実態がピンとくる。

 一億円のお金を現金払いするように要求した。

まるでヤクザの世界である。全財産をよこせ、ということである。それをネクタイを締めた「知能犯」が、やっているだけのことだ。

このような実態になったひとつの原因は、広義の新自由主義=構造改革の柱として浮上した司法制度改革だった。国境なき時代の国際スタンダードに合致させ、多国籍企業(特に米国)を誘致するための条件づくりのなかで、司法制度改革が行われてきたのだが、その中で高額訴訟を正当化する論理が登場したのである。

2001年6月に発表された司法制度改革審議会意見書にも、賠償額の高額化の必要性を述べた記述がある。

損害賠償の額の認定については、全体的に見れば低額に過ぎるとの批判があることから、必要な制度上の検討を行うとともに、過去のいわゆる相場にとらわれることなく、引き続き事案に即した認定の在り方が望まれる(なお、この点に関連し、新民事訴訟法において、損害額を立証することが極めて困難であるときには、裁判所の裁量により相当な損害額を認定することができるとして、当事者の立証負担の軽減を図ったところである。)。 ?

? ところで、米国など一部の国においては、特に悪性の強い行為をした加害者に対しては、将来における同様の行為を抑止する趣旨で、被害者の損害の補てんを超える賠償金の支払を命ずることができるとする懲罰的損害賠償制度を認めている。しかしながら、懲罰的損害賠償制度については、民事責任と刑事責任を峻別する我が国の法体系と適合しない等の指摘もあることから、将来の課題として引き続き検討すべきである

◇弁護士懲戒請求  

日弁連が弁護士懲戒請求に対して、極めて消極的であることは言うまでもない。参考までに次の記事を参考にされたい。

喜田村洋一弁護士に対する懲戒請求 日弁連が黒薮の異議申立を棄却 ずさんで舌足らずな決定書の文面