天下り、メディアとの癒着、調査官名の非公開、検察審査会疑惑・・・最高裁問題とは、職員配置図を公開
ここ数年の間に、ようやく最高裁がかかえる問題がメディアに登場するようになった。最高裁のなにが問題なのかについては、KOKUSYOで順をおって紹介していくが、それに先立って、最高裁の組織の成り立ちを示す格好の資料を紹介しよう。
格好の資料とは、茨城県市民オンブズマンの石川克子事務局長が、情報公開請求で入手した最高裁の職員配置表である。この資料を参照にすることで、今後、最高裁に対する情報公開を請求する場合、請求資料と直接関係がある部署とコンタクトを取る段取りを踏める。
石川氏は、昨年の9月4日、最高裁に「要望書」を提出している。要望の趣旨は、情報公開請求者に対して説明責任を果たせというものである。
◇最高裁問題とは
現在、最高裁に関連して指摘されている問題には、次のようなものがある。
1、最高裁判事の退官後の再就職。(広義の天下り)
今世紀に入ってから退官した最高裁判事30人のその後を調査したところ、半数が弁護士事務所や企業、それに大学などに天下っていることが分かった。大学はよしとして、問題なのは、前職が弁護士でないにもかかわらず弁護士事務所へ天下りしケースである。読売の代理人を務めるTMI総合法律事務所もそのひとつである。
また、下級裁判所の判事や検事などその他の司法官僚の中にも、弁護士事務所に天下りする例が多数みられたほか、逆に弁護士事務所から官庁へ多くの弁護士が出向していることも判明している。
参考記事:http://www.mynewsjapan.com/reports/1570
2、メディア企業に対して多額の広告費を支出している。
最高裁から電通など広告3社に4年間で約25億円の税金が広告費として支払われていたことが、明らかになった。広告価格は、偽装部数(「押し紙」)を含む「ABC部数」に準じて、定価が決められている。最高額は、読売に対する年間約1億円(4年で計3億8,961万円)。
参考記事:http://www.mynewsjapan.com/reports/1696
3、不透明な上告審 。
最高裁が年間に受け付ける上告事件、あるいは上告受理申立事件は、年間で4000件を超える。しかし、これを処理している調査官は、約40名しかいない。と、なれば1人の調査官が年間に約100件の事件を処理することになる。不可能としかいいようがない。
当然、裁判関連資料を正確に解読し、裁判の当事者を「取材」しているのかという疑問がある。
4、担当調査官の氏名が非開示になっている。
わたしは読売裁判や伊方原発訴訟を担当した調査官の氏名を公表するように情報公開を請求したことがある。しかし、開示されなかった。
裁判は公開で行うのが原則である。まして誰が裁決を下したかを、公にしないわけだから、極論すれば、日本の最高裁は軍事法廷とあまりかわらない。
5、一部の検察審査会が架空になっている強い疑惑がある。
この問題については、年間を通じてMEDIA KOKUSYOで取り上げたい。参考までに、次の書籍を紹介しておこう。
これら2冊は、小沢一郎氏を起訴した東京第5検察審査会が架空である可能性を示唆している。しかも、綿密な事実に基づいた推論である。ただ、森氏は 東京第5検察審査会は存在するが、小沢氏の起訴を検察が誘導したとする説のようだ。