最高裁に対して情報公開請求 対読売裁判の調査官の氏名開示を求める 本当に審理しているのか?
11月21日付けで、わたしは最高裁に対して次のような情報公開を請求した。
平成22年(受)第1529号事件(上告人・読売新聞社・他 被上告人・黒薮哲哉)を担当した調査官の氏名が特定できる文書。
わたしが対象とした裁判は、読売新聞社(西部本社)と同社の江崎徹志法務室長など3人の社員が、ウエブサイト「新聞販売黒書(現・MEDIA KOKUSYO)」の記事で名誉を毀損されたとして、2230万円のお金を支払うことなどを求めた事件である。
◇年間4000件、本当に審理しているのか?
地裁と高裁はわたしの勝訴だった。しかし、最高裁が読売を逆転勝訴させることを決定して、高裁判決を差し戻した。これを受けて東京高裁の加藤新太郎裁判長は、110万円のお金を支払うように命じた。
最高裁で本当に上告事件が検証されているのかという疑いをわたしが持つようになったのは、年間の上告(上告受理申立を含む)件数が4000件を超える事実を知ってからだ。
4000件の処理件数に対して、実質的に判決を書いている調査官の数は、50名に満たない。2011年度の場合は、補佐人を含めても42人しかいない。4000件を単純に42人に割り当てると、ひとりあたりの担当件数は、95件になる。
最高裁に提出される裁判関連の資料は膨大な量になる。となれば常識的には、1人の調査官が年間に95件もの事件を処理するのは不可能だ。
以上のことを前提とすると、上告事件の一部は審理しないで、棄却していると考えるのが自然だ。ただし印紙代は請求している。
◇伊方原発訴訟の調査官を公開できず
そこでわたしは試しに伊方原発訴訟を担当した最高裁の調査官の氏名を公表するように、最高裁に対して情報公開請求を行った。結果は、予測した通り、最高裁は開示することができなかった。この時点で、わたしの推理の裏付けが一歩進んだのである。
ちなみに最高裁調査官リストにある綿引万里子判事は、2001年2月にスタートした読売新聞の連載「裁く」を単行本化した『ドキュメント裁判官』(中公新書)の第4章「夫婦裁判官物語」に登場している。夫の綿引稔裁判官は、ジャーナリスト・烏賀陽弘道氏を被告するオリコン裁判で、実質的な誤審を下したことで有名。