黒塗りにされた最高裁判事の給料明細200枚、情報公開制度は機能しているか?
このところ情報公開制度を利用することが増えている。総務省によると情報公開制度は次のような法的根拠に基づいて実施されている。
「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(平成13年 4月1日施行)及び「独立行政法人の保有する情報の公開に関する法律」(平成14年10月1日施行)は、国民に対し政府の説明責任を全うする観点から、行政機関及び独立行政法人等(すべての独立行政法人及び政府の一部を構成するとみられる特殊法人・認可法人等)が保有する文書についての開示請求権等を定めており、国民に開かれた行政の実現を図るために重要な法律です。
わたしは昨年から情報公開制度を利用するようになった。これまで開示してもらった情報には次のようなものがある。
■政府広告(新聞広告)の支出額と掲載紙
■裁判員制度のPR広告(新聞広告)の支出額と掲載紙
■最高裁の各種委員会の構成メンバー
■裁判員制度に出費した経費
◇破産管財人の氏名公表
情報公開請求をしたが、拒否されたものとしは、破産管財人の氏名がある。これは東京地裁に対して請求したものである。 情報公開請求に踏み切ったのは、最近、最高裁判事が退官後に大手弁護士事務所へ再就職(広義の天下り)するケースが増えているからだ。大手弁護士事務所に所属する弁護士が、破産管財人に指名されるケースが増えているという情報を得たのを受けて、事実関係を確かめるために、破産管財人の名前を明らかにするように求めたのである。
拒否の理由は、そのような資料は存在しないということだった。裁判所が破産管財人を指名しておきながら、データが存在しないというのはおかしな話である。
◇最高裁判事の給料明細
最高裁判事の給料明細の開示を請求したところ、A4版の書面が約200枚公開された。ところがそのほとんどが黒マジックで塗りつぶされていた。例をして1ページをPDFで紹介しよう。黒塗りの実態がよく分かる。
同じような書面が200枚送られてきたのである。
給料に関する情報はプライバシーの領域に入る。しかし、最高裁判事は、人を裁くという特権を与えられている。これは一般の国民が持ちえない特権の中の特権である。日本で15名の最高裁判事が有するのみだ。
と、なれば給料が高いのは当然である。大変な仕事であるからだ。しかし、特別に高い国家公務員の給料は、公表すべきというのがわたしの考えである。
しかし、請求の結果、黒塗りの書面が200枚送られてきたのである。「公表できない」と一筆書けばそれで済むところ、わざわざ200枚を黒塗りしたのである。これが事務手続きだけを重視する官僚主義の実態ではないだろうか。 社会通念で判断する習慣が欠落しているようだ。
◇松井・長嶋の金バットの値段は?
現在、情報公開を請求して回答を待っているものとしては次のようなものがる。
■新聞の公共広告(総務省、警察省、農林水産省)の出費と掲載紙
■安部内閣の閣僚たちがゴルーデンウイークの外遊で使った金銭の明細
■国民栄誉賞に出費した金銭の明細
■オリンピック誘致に使った金銭の明細
■安部首相が次の会合で出費した金銭の明細
▽3月15日/フジテレビ・日枝久会長/芝公園のフランス料理店「レストラン クレッセント」
▽同22日/テレビ朝日・早河洋社長(他に幻冬舎社長)/首相公邸
▽4月4日/ジャーナリスト・田原総一朗氏/首相公邸
▽同5日/日本テレビ・大久保好男社長/帝国ホテル内の宴会場「楠」
▽5月8日/読売新聞・渡辺恒雄グループ本社会長、日本テレビ・大久保好男社長(他に長嶋茂雄氏、松井秀喜氏)/首相公邸
▽5月10日/司会者・みのもんた氏/首相公邸
▽5月16日/ジャーナリスト・田原総一朗氏/首相公邸