1. 元最高裁判事の天下りの全面禁止を 対読売裁判における公平性に疑問

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2012年12月18日 (火曜日)

元最高裁判事の天下りの全面禁止を 対読売裁判における公平性に疑問

読売新聞が起した裁判で代理人を務めてきた弁護士が所属する事務所のひとつにTMI総合法律事務所がある。

わたしを原告とする名誉毀損裁判(原審・さいたま地裁)は、言うまでもなく、七つ森書館を被告とした裁判、清武英利氏を被告とした裁判でも、TMI総合法律事務所の弁護士らが、読売の代理人を務めている。(朝日を被告とした裁判、文春を被告とした裁判については、調査中)

ところが本サイトやMyNewsJapanでも繰り返し報じて来たように、TMI総合法律事務所には、元最高裁の判事が3人も天下りしている。次の3氏である。

泉?治    :元最高裁判所判事・東京高等裁判所長官

今井功    :元最高裁判所判事・東京高等裁判所長官

才口千晴   :元最高裁判所判事

ちなみに最高裁判事以外の再就職組は次の方々である。

頃安健司   :元大阪高等検察庁検事長

三谷紘    :元公正取引委員会委員・横浜地方検察庁検事正

相良朋紀   :元広島高等裁判所長官

塚原朋一   :元知的財産高等裁判所長

樋渡利秋   :元検事総長

さて、日弁連はこの重大な問題をどのように考えているのだろうか。「天下り問題」に直接言及した文書類の存在は不明だが、参考になる文書はある。『弁護士業務基本規程』の第77条は、次のように述べている。

(裁判官等との私的関係の不当利用) 第77条 弁護士は、その職務を行うに当たり、裁判官、検察官その他裁判手続きに関わる公職になる者との縁故その他の私的関係があることを不当に利用してはならない。

 (解説は、ここをクリック)

TMI総合法律事務所に3人の元最高裁判事がいる事実が、一連の読売裁判の判決に影響を及ぼすか否かは、さまざまな視点から検討を重ねて答えを出す必要があるが、少なくとも次の事はいえる。被告にされた側は、強い不公平感を抱くということである。

実際、わたを被告とした名誉毀損裁判では、地裁、高裁はわたしの勝訴だったが、最高裁で逆転された。最高裁判事が読売を勝訴させ、わたしを敗訴させる決定を下したのである。そして差し戻し審で、加藤新太郎裁判官が110万円の支払いを命じた。

裁判に公正な舞台が求められるのは言うまでもない。それは司法関係者の共通した認識になっている。たとえば最高裁判事・須藤正彦氏は、「最高裁判所裁判官国民審査公報」で次のように述べている。

(略)裁判は、公正で、社会常識にかない、しかも迅速であることが求められますが、特に最高裁判所に対しては、『憲法の番人』として、あるいは、立法、行政、司法の三権のチェック・アンド・バランスの下での司法として、あるべき役割を果たすことについて国民の皆様の期待が大きいことを改めて感じさせられています。」 と述べている。

須藤氏は、自分たちの先輩が退官後、大手法律事務所へ堂々と天下りしている事実をどのように考えているのだろうか?司法制度改革の中で最初に取り組むべき大問題ではないだろうか?