1. 中京大・大内裕和教授とジャーナリスト・三宅勝久氏の記述盗用をめぐる係争、中京大は取材拒否

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2021年05月27日 (木曜日)

中京大・大内裕和教授とジャーナリスト・三宅勝久氏の記述盗用をめぐる係争、中京大は取材拒否

JBpress が大学教授による記述盗用疑惑を報じている。タイトルは、前編が「まさかあなたが――『弱者の味方』有名教授 にパクリ疑惑発覚」、後編が「教授の『盗用疑惑』にも中京大学は『調査不要』でスルーの構え」である。

盗用被害を訴えているのは、ジャーナリストの三宅勝久氏である。一方、「パクリ疑惑」の舞台に立たされたのは中京大学国際教養学部の大内裕和教授である。マスコミでも活躍している著名人である。

JBpressの記事によると、問題となっているのは、大内教授の著書『奨学金が日本を滅ぼす』(朝日新書)である。三宅氏が執筆した『日本の奨学金はこれでいいのか!』(共著、あけび書房)と類似した記述が、大内氏の『奨学金が日本を滅ぼす』の中に複数件あるという。たとえば、次の比較表で具体例が確認できる。

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三宅氏は、既に4月28日に大内氏を著作権違反で提訴(東京地裁)している。5月26日には、文科省で記者会見を開いた。筆者は参加しなかったが、この事件については、以前から三宅氏のブログ「スギナミジーナル」を通じて把握していた。

PBプレスによると、「朝日新聞出版は、コンプライアンス担当役員を含む調査チームで社内調査を行い、大内教授からも事情を聞いている。結果、当事者間で問題が起きていることを重大に受け止めているとして、紛争が解決するまで大内教授の著書の出庫停止、電子版の販売停止を決定している」という。

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大内教授側にも言い分があるようだ。BPPressによると、「自分(注:大内教授)が独自調査したデータであり、これらは三宅の本が発売されるより前に発表した表現である。したがって盗用剽窃ではない」というものらしい。表現そのものが類似していることは、認めているようだ。

筆者は、この事件についての大内教授本人と中京大学の見解を知るために、5月26日、中京大学の広報部へ取材を申し入れた。しかし、取材には応じられないとのことだった。従って、現時点では、中京大学と大内教授の主張を詳しく紹介しようがない。

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三宅氏と同業者である筆者は、この事件にただならぬ関心を持っている。盗用がまかり通ってしまうと、われわれの職業は成り立たなくなるからだ。しかも、フリーランスの場合、取材経費を自分で負担する場合が多く、盗用によって受ける損害はただならない。盗用しなくても、記述の出典を明記すれば問題はないわけだから、盗用が事実であれば、文書作成の最低のルールすらわきまえていないことになる。

今後、メディアがこの事件をどう報道をするかも注目したい。

 

前編:「まさかあなたが――「弱者の味方」有名教授 にパクリ疑惑発覚」(上)、

後編:「教授の「盗用疑惑」にも中京大学は「調査不要」でスルーの構え」(下)