1. 「DHC吉田がつくったサプリメントは避けたい」の声、裁判提起は原告企業にメリットをもたらすのか

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2018年01月18日 (木曜日)

「DHC吉田がつくったサプリメントは避けたい」の声、裁判提起は原告企業にメリットをもたらすのか

スラップが社会問題になって久しいが、裁判を起こした側に本当にメリットがあるのかどうかを検証する時が来ている。筆者がそう考えるようになった糸口は、今年の正月に友人宅を訪問した時の体験である。

台所にDHCのサプリメントが置いてあったので、DHCの吉田嘉明会長がどのような人物なのかを説明した。吉田氏は次々と裁判を起こしてきた人物として有名だ。

記憶に新しいところでは、2014年の春に、ほぼ同時に10件の裁判を起こした。発端は、渡辺喜美衆議院議員(当時、みんなの党代表)が、吉田会長から8億円を借りていながら、その一部を返済しなかったために、吉田会長が週刊新潮で手記を発表したことである。

この事件について、さまざまな論評が行われた。個人のブログでも、論評が展開された。その大半は、吉田会長に対する批判だった。

これに対して吉田氏は、批判者から10名を選んで名誉毀損裁判を起こしたのだ。また、意外に知られていないが、その前にも自社の元社員に対して裁判を起こしている。次々と裁判を起こす人物なのだ。

こうした吉田氏の人間性を筆者が説明したところ友人は、

「そんな人が作るサプリメントは安全なんだろうか?」

と、言った。

「中味を調べる必要があるだろう」

そう応じた筆者もサプリメントの服用者である。しかし、2014年の吉田会長による「同時多発裁判」からのち、DHC製品は絶対に買わないようにしている。自分の利益のためなら、社会通念から逸脱する行為に走ることをはばからない人間が製造した「食品」を食べるリスクを感じたからだ。コスト削減のために何をやっているか分からないという不安があった。

◇読売裁判で「押し紙」問題が市民権を得る

読売が筆者に対して起こした3件の「一連一体裁判」についても、同じような原理が働いている。読売裁判を通じて、皮肉なことに日本の新聞業界には「押し紙」が存在することが、広く世の中に知れ渡った。提訴されて、被告が黙り込んでしまえば、裁判を起こした者の思うつぼだが、筆者が裁判を逆手にとって「押し紙」問題を報道したために、今では「押し紙」という言葉が市民権を得てしまった。

しかも、裁判の間に収集した読売側の資料がすべて筆者の手元に保管されているわけだから、その後の「押し紙」報道も格段にやりやすくなった。ちなみに筆者が弁護士に払ったお金はゼロ円である。

販売店や市民からの情報提供も増えた。こんなふうに考えると、提訴権そのものは行使してもいいが、根拠のない裁判や、誰がみても異常な形の提訴は避けるほうが安全だ。長い目でみると、洗濯したぐらいではおちない返り血を浴びることになりかねない。