1. 歴代・検事総長の異常な「天下り」実態、進む腐敗、検察官の職能や士気低下の原因か?

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2017年08月04日 (金曜日)

歴代・検事総長の異常な「天下り」実態、進む腐敗、検察官の職能や士気低下の原因か?

広義の「天下り」問題は、昔からあったが、まったく解決されていない。しかも、事件を処理する立場にいた司法関係の元国家公務員までが、あたりまえのように企業に再就職する実態がいまだにある。これでは、経済事件などは放置されかねないケースが出てくるだろう。日本は学閥や人脈が、「後輩」に対して影響力を持つ前近代的な社会であるからだ。

検事総長は、検察組織のトップである。検事総長について検証してみても、退官後、ひとりの例外もなく天下りしている。法律事務所への再就職は、まだ許容範囲かも知れないが、一般企業への「天下り」は大きな問題がある。

本来、経済事件の被告となるはずの企業が、何の咎めも受けないことにもなりかねない。

次に示すのは、2004年以降に退官した検事総長の主要な天下り先である。

■大野恒太郎(2014年7月18日 - 2016年9月5日)
森・濱田松本法律事務所客員弁護士

■小津博司(2012年7月20日 - 2014年7月18日)
三井物産監査役、トヨタ自動車監査役、資生堂監査役、

■笠間治雄(2010年12月27日 -2012年7月20日)
日本郵政取締役、住友商事監査役、SOMPOホールディングス監査役、NKSJホールディングス監査役、キユーピー監査役、西武ホールディングス顧問、日清医療食品特別顧問、ワタキューセイモア特別顧問、一柳アソシエイツ特別顧問、イーサポートリンク顧問

■大林宏(2010年6月17日 - 2010年12月27日)
大和証券監査役、アサツー ディ・ケイ取締役、三菱電機取締役、新日本製鐵監査役、日本たばこ産業監査役

■樋渡利秋(2008年7月1日 - 2010年6月17日)
TMI総合法律事務所顧問、野村証券取締役、本田技研工業監査役、トーヨーカネツ監査役、

■但木敬一(2006年6月30日 - 2008年6月30日)
森・濱田松本法律事務所客員弁護士、日本生命保険監査役、(財)矯正協会会長、大和証券グループ本社監査役、イオン取締役、フジタ監査役

■松尾邦弘(2004年6月25日 - 2006年6月30日)
旭硝子取締役、トヨタ自動車監査役、日本取引所グループ取締役、ブラザー工業監査役、テレビ東京ホールディングス監査役、損害保険ジャパン監査役、三井物産監査役、セブン銀行監査役、小松製作所監査役、

■原田明夫(2001年7月2日 - 2004年6月25日)
原子力損害賠償支援機構運営委員長、住友商事監査役・取締役、資生堂監査役、セイコー取締役、日本郵政取締役、東京女子大学理事長、三菱UFJフィナンシャル・グループ取締役、山崎製パン取締役

出典

「天下り」の問題は、かなり以前から指摘されてきた。しかし、改善するどころか、ますます露骨になっている。日本がいかに社会進歩から取り残されているかの証である。

しかも、驚くべきことに、2007年の第1次安倍内閣の下で、天下りの規制は緩和されているのである。安倍政権に「天下り」問題を解決しようという気など毛頭ないことは言うまでもない。甘えの構造が、職能や士気の劣化にも繋がっているようだ。