1. 朝日バッシングの標的にされた植村隆氏が北星学園非常勤講師を失職する危機、問われる知識人・学者たちの良心

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2015年10月28日 (水曜日)

朝日バッシングの標的にされた植村隆氏が北星学園非常勤講師を失職する危機、問われる知識人・学者たちの良心

橋詰雅博(フリージャーナリスト・元日刊ゲンダイ記者)

元朝日新聞記者で韓国従軍慰安婦問題を巡りねつ造記者とバッシングを受けた植村隆氏(57)が、北星学園非常勤講師の職を失う岐路に立たされている。

植村氏を支援する日本ジャーナリスト会議などに入った情報によると、同大の田村信一学長が植村氏や大学の彼の支援者と今まで3回会い、「来年度の雇用は学内に反対の声が強く、難しい見通し」と話している。

大学などへの脅し、嫌がらせは昨年ピークの月が800件だったが、今では月数件と激減している。学長は「事態は収束している」と認識。それにもかかわらず雇用継続契約の締結が難しいとしたその理由を①15年度の警備費が3200万円と昨年の2倍に増えたこと②教職員が「疲れた。もう解放してほしい。平穏なキャンパスに戻りたい」と訴えている―などを挙げた。

学長は当初、「(雇用契約を打ち切るかどうか)、私が決める」と発言してきたが、植村氏らと会談を重ねた結果、予想外に反発が強かったためここにきて教職員代表でつくる評議会で決めてもらうと方針を転換している。

「1年で雇用を打ち切ったら、植村氏や大学を脅迫する側を喜ばせるだけ」「昨年、脅迫に屈せず、雇用を継続し、国内外から高い評価を受けたのにそれを台無しにしてよいのか」と打ち切り反対意見よりも、学内は打ち切り止む無しのムードのようだ。

この流れを止めて雇用継続に向かわせようという動きもある。植村氏が教えた韓国人留学生が帰国後、自分が通う大学で植村氏の雇用継続を求め約1000人の署名を集め、それを北星学園大に提出し、打ち切り再考を要請した。

また、89歳と高齢の玖村敦彦東大名誉教授(支援者)が学長、副学長、理事長、事務局長、雇用継続に反対しているリベラル派教員などに雇用継続を要請した手紙を出し、一部の理事が反対派を説得している。

大学は11月中に結論を出す予定だ。打ち切りと決まれば、植村氏の雇用は来年3月までとなる。もちろん、植村氏は雇用継続を求めている。

支援団体などは、ジャーナリスト有志で声明を出す、記者会見をしてメディアに取り上げてもらうなどの対策を考えている。

植村さんは26日に開かれた東京地裁での第3回口頭弁論に出廷し、その後の報告集会で韓国訪問、産経新聞から受けたインタビューの様子を説明した。「ねつ造記者ではない」とキッパリ言い、極めて元気だった。

※写真は植村隆氏

橋詰雅博
日刊ゲンダイ記者を経てフリーのジャーナリスト。
ブログ「橋詰雅博の焦点」