1. 『財界にいがた』が生田暉雄弁護士の講演録を掲載、判決直前に裁判官の交代劇が起こる理由

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2016年03月30日 (水曜日)

『財界にいがた』が生田暉雄弁護士の講演録を掲載、判決直前に裁判官の交代劇が起こる理由

新潟県の経済誌『財界にいがた』(4月号)が、2月28日に東京で行われたシンポジウム「裁判所は本当に駆け込み寺?」で生田輝雄弁護士(元大阪高裁判事)が行った講演の記録を中心に、参加者の発言を紹介している。タイトルは、「国政を推進する最高裁」。

生田氏は、日本の裁判の実態をせきららに語っている。日本の裁判では、判決の直前になって突然に裁判官の交代劇が起こることがよくあるのだが、その背景には、国政の方向性に逆行する判決を下した場合、裁判官みずからの昇級に影響する事情があるらしい。生田弁護士が言う。

なぜ直前に裁判官を代えられるかというと、大きな事件や公害などの重大事案は報告事件といいまして、最高裁事務総局や民事局、行政局に書記官サイドからその日の状況を全部報告しているのです。

 それを全部見ている最高裁がたとえば「これでは生田のほうが勝つではないか。そんなことがあってはいかん」ということで裁判官をバサッと代えてしまうのです。

 そして新たに担当になった裁判官は記録を見て「これは前のようにやってはいけないと最高裁が言っているのだな」と受け止め、それに沿った無茶苦茶な審理を行うのです。

◇訴訟件数が少ない日本

また、生田弁護士は、訴訟件数の低迷にも言及している。初めて日本で司法統計が取られた明治8年に比べて、現代は民事訴訟の受理件数が3分の1に減っているという。これを当時の人口比を考慮に入れて比較した場合は、民事訴訟の受理件数が8分の1から9分の1に減っているという。

一方、海外における訴訟件数の比較も興味深い。

現在日本における行政訴訟は年間2千件ぐらいです。ところがドイツでは51万件といわれています。ドイツの人口は約8千件ですから、仮に日本と人口が同じだとすると74万件ぐらいという計算になります。

司法の実態を通じても、日本人の裁判を避ける傾向が顕著にみえる。太平洋戦争により言論が抑圧された後の時代、つまり昭和の後半から平成にかけた時代よりも、明治期の方が自由闊達な精神が浸透していた証である。

その他、生田弁護士は、裁判官の昇級差別や、砂川事件で田中耕太郎長官が米国と取引をした問題などを指摘している。