反原発の季刊誌『NONUKES』20号、福島のセシウム137の真実
『NONUKES』(鹿砦社)という季刊誌をご存じだろうか。2014年8月に第1号が発刊され、先月発売になった号で、20号になる。反原発の立場から編集されている雑誌で、日本の反原発運動を紹介している。一部の連載は別として、大半の記事が原発に関連したものである。しかも、マスコミが報じない領域をカバーしている。
たとえば「『子ども脱被ばく裁判』は被ばく問題の根源を問う」と題する井戸謙一弁護士へのインタビューでは、原発による低線量被曝の問題を取りあげている。低線量被曝という言葉は、あまり聞かないが、放射線や電磁波による被曝を考える上で、ひとつのキーワードである。
これは、国などが定めた規制値を守っていれば被曝による人体影響はないという考えを否定し、どんなに微量の被曝でも、人体影響を受けるリスクが存在するという考えだ。
当然、低線量被曝はありえないという考えに立つと、それを前提とした対策は取られない。報道の対象にもならない。それが今の日本の実態だ。
東京オリンピックへ向けて、福島の復興を強調するプロパガンダが活発になっているが、その裏側では、「予防原則」に基づいて、子どもに安全な環境で教育を受ける権利を保証させたり、将来的に子どもが直面する可能性のある健康リスクに対する損害を賠償させる裁判が行われている。
福島の原発事故の後、セシウム137について、大人でも90日程度で半減するという情報があふれた。しかし、福島の原発がまき散らしたセシウムは、性質が異なる。不溶性のもので、「微粒子の状態で呼吸と一緒に取り込まれれば、それが肺とか気管支に沈着すると溶けないから、ずっとそこにいる」のだという。
京都大学の河野益近教務が福島のセシウム137を調査したところ、98%が不溶性であることが判明した。「子ども脱被ばく裁判で」は、低線量の内部被曝を前提として、不溶性のセシウム137が問題になっているのである。
鹿砦社はこれまでもマスコミが取りあげない問題に光を当ててきたが、『NONUKES』も同じ路線だ。記者クラブの情報をリライトしたようなレポートは1本もない。
タイトル:『NONUKES』(鹿砦社)
版元: 鹿砦社
価格:680円(税込み)
反原発の季刊誌『NONUKES』、福島のセシウム137の真実