『ぼくは負けない』刊行から40年、今、日本の教育現場はどうなっているのか?
昨日(6月30)で、筆者(黒薮)の最初の著書、『ぼくは負けない』(民衆社)が刊行されて40年である。初版が1977年6月30日で、再製本されたり、シリーズもので再出版されたりで、結局、25版ぐらい重ねた本である。アマゾンで7980円、または167円で購入できるが、ほとんどの公立図書館にある。ただし、「書庫」に移されている可能性が高い。
この本は、1970年ごろの日本の中学校教育のひどい実態を記録したものである。筆者は、もともと記録する習慣があったので、中学校での3年間の学校生活をかなり詳しく書き残していた。
道徳教育が熱心な学校で、朝礼で呪文を唱える儀式があった。それを弁論大会で批判すると、教師に殴られたり、自宅へ怒鳴りこまれたりといったひどい扱いを受けた。校長からも呼び出されて説教された。これらの実態を克明に記録して残しておいた。
たまたまこの中学校には、生徒指導のための日誌があった。その提出が義務づけられていた。筆者は、強制されるのが嫌いなので、提出を拒否していた。しかし、あまりしつこく提出を迫ってくるので、それならということで、ある時期から、この日誌を通じて、担任教師に「君が代」論争などを挑んだ。困った教師は、筆者の日誌にはコメントしなくなった。
勉強はまったくしなかった。内申書は最悪で地元の高校にも落ちた。
高校を卒業した次の年に、リベンジのために、中学校の記録をまとめて出版したのがこの本である。
40年後に本書を読み返してみると、道徳教育が重視されるようになった現在の状況下で、1970年ごろの中学校の実態が、復活しているのではないかという危惧を感じる。価値観の押しつけなど、「期待される人間像」にみる観念論教育が復活してきた危惧を感じる。40年の歳月は感じさせないはずだ。
序文は、和光学園の元校長・故丸木政臣氏に書いていただいた。すぐれた書評になっているので、序文の部分だけ紹介しておこう。