1. 安保関連法の狙いは何か? ラテンアメリカに見る海外派兵と多国籍企業の関係

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2015年09月18日 (金曜日)

安保関連法の狙いは何か? ラテンアメリカに見る海外派兵と多国籍企業の関係

【サマリー】チリの軍事クーデターから42年が過ぎた。このクーデターに象徴されるように米軍やCIAによる暴力的策動の背景には、常に多国籍企業の権益がある。グローバリゼーションが進行するなかで安保関連法は、日米共同で多国籍企業の権益を守るための体制づくりの法的根拠となる。

 ラテンアメリカの同時史から、マスコミが報じない安保関連法の本当の目的を想定する。

9月11日は、チリの軍事クーデターから42年目の日だ。1973年に起きたこの軍事クーデターは、社会党と共産党を中心とするUP(人民連合政府)を暴力で倒した事件である。米国CIAにけしかけられたピノチェット将軍が大統領官邸を空爆し、アジェンデ大統領を殺害し、鉄のような軍事政権を敷いた日である。

ラテンアメリカ史の中でも最も残忍非道なクーデターとして記憶されている。

チリに限らずラテンアメリカ諸国は、前世紀まで繰り返し米国による内政干渉を受けて来た。それはチリのようにクーデターという形をとることもあれば、ニカラグアやエルサルバドルのように軍事介入(司令官の派遣など)のかたちをとることもあったが、ほぼ共通しているのは、米国の多国籍企業の権益を守るための軍事介入であった事実である。

日本の国会では、安保関連法案が参議院特別委員会を通過したが、今に至っても、同時代史から想定される海外派兵の究極の目的はほとんど報じられていない。それは平和維持でも、国際貢献でもない。海賊退治でもない。

ラテンアメリカが経験した苦難から察すると、多国籍企業の防衛である。

今後、日米政府は多国籍企業の権益が侵されかねない地域への軍事介入を繰り返す可能性が極めて高い。

ただ、それは旧日本軍のような「侵略→占領→植民地化」のスタイルではない。多国籍企業の進出先で「政変」や「革命」が起きた時、世界のどこにでも迅速に軍隊を投入して、「政変」や「革命」を抑え込むスタイルである。

◇ラテンアメリカへの軍事介入

ちなみにラテンアメリカについて言えば、戦後、米国は次の地域に対してクーデターや軍事介入を断行している。

■1954年 グアテマラ

■1961年 キューバ

■1964年 ブラジル

■1965年 ドミニカ共和国

■1971年 ボリビア

■1973年 チリ

■1979年 ニカラグア内戦

■1980年 エルサルバドル内戦

■1983年 グレナダ

■1989年 パナマ

すでに述べたように、軍事介入の目的は、ほとんどの場合が多国籍企業がらみである。たとえばチリ。1970年に成立したアジェンデ政権は、米国資本の鉱山会社を国有化した。チリの資源をチリ人の手に取り戻したのである。

これに対して、「資本家スト」などが起きたり、反共のプロパガンダが広がったりしてチリは混乱した。政権の持続は難しいのではないかとの声もあったが、73年の総選挙でUPは大勝する。

この選挙結果により、アジェンデ政権を合法的に倒すことができないのがはっきりしたのである。そこで米国CIAが選んだのが、ピノチェットを担ぎ出して、軍事クーデターを起こす戦略だった。

話は前後するが、1954年のグアテマラのクーデターも、やはり米国資本のUFC(ユナイテッド・フルーツ・カンパニー)とCIAの謀略である。

◇構造改革と軍事大国

安保関連法案が成立した後は、これまで米国がラテンアメリカに対して断行してきたような軍事介入を日米共同で行うことになる。

安保関連法案というのは、見方を変えると多国籍企業の優遇策にほかならない。軍隊という「ボディーガード」を準備することである。

その意味では、やはり大企業の優遇策の典型である新自由主義=構造改革の路線(アベノミックス)と同じ脈絡から生まれてきたものである。当然、小沢一郎氏らのイニシアチブで1990年代に始まった新自由主義=構造改革の段階から、行き着く先が軍事大国であることは見えていた。

それに警鐘を鳴らさなかったマスコミの責任は重い。