1. ニカラグアに今も生き続ける民族自決主義、サンディーノ生誕120年

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2015年05月26日 (火曜日)

ニカラグアに今も生き続ける民族自決主義、サンディーノ生誕120年

5月18日は、ニカラグアの民族主義者アウグスト・セサル・サンディーノ(Augusto César Sandino )の生誕120年である。現在のニカラグアの政権党であるサンディニスタ民族解放戦線(FSLN)の名がサンディーノに由来していることは言うまでもない。

スペイン語で「ニスタ、nista」とは、「~主義者」の意味である。つまりサンディニスタとは、サンディーノ主義者という意味である。

米国の海兵隊がニカラグアを占領した1927年、サンディーノは少数精鋭の部隊を結成。地の利を生かした執拗なゲリラ戦を展開し、1933年に海兵隊を完全に撤退させた。以来、ラテンアメリカで米国に対するレジスタンスの象徴的な存在になった。

しかし、翌年、サンディーノは、アナスタシオ・ソモサ・ガルシア将軍に招かれたパーティーからの帰路、待ち伏せしていた軍に拘束されて、即座に殺害された。遺体はあらかじめ掘ってあった穴に埋められた。

その後、ソモサ将軍は軍事クーデターを起こして政権を掌握。以後、1979年にマイアミに逃げるまで、親子3代に渡る「ソモサ王朝」が続いた。ニカラグアの政治も軍も産業も支配していたのである。が、最後は亡命先のパラグアイで何者かに暗殺された。

サンディーノ主義とは、端的に言えば民族自決主義である。それゆえに1979年の革命は、民族自決主義という共通の目的で、極めて広範な人々が共同戦線を張った。革命後の政権には、4人のキリスト教関係者も入閣した。

FSLNは、革命後に米国が仕掛けた内戦がもたらした経済破綻などが原因で、1990年に政権の座を失った。自ら構築した議会制民主主義のルールにより、野に下ったのである。しかし、2006年の大統領選挙で再び政権の座に返り咲いた。

現在のダニエル・オルテガ大統領は、FSLNの革命前からの戦士で革命後の初代大統領でもある。