1. 米国・キューバの国交回復報道、日本のメディアが報じない「テロ支援国認定の解除」の意味

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2015年04月14日 (火曜日)

米国・キューバの国交回復報道、日本のメディアが報じない「テロ支援国認定の解除」の意味

米国のオバマ大統領とキューバのラウル・カストロ国家評議会議長の会談が11日に、中米のパナマ市で実現し、両国の国交正常化へ向けて大きく舵を切った。これまで両国の最大の障害になってきたのは、米国がキューバをテロ支援国家として認定していることだった。

昨年の暮れに始まった国交正常化交渉でキューバが前面に押し出して要求したのは、テロ支援国家の認定を解除することだった。これに対して、米国側はテロ支援国家の解除と国交正常化は別問題とする立場を貫いてきた。

こうした交渉のプロセスは日本のメディアも報じてきたが、テロ支援国家解除の持つ重要な意味を解説しているマスメディアは皆無に近かった。

結論を先に言えば、それはテロ支援国家の認定が解除されない限り、キューバは、国交が正常化されたとしても、世界銀行などから、融資を受けることが出来ない点である。それゆえにキューバは、テロ支援国家の認定解除に異常なこだわりを見せているのだ。

ところが日本のメディアによるキューバ報道に接していると、キューバは自国のプライドをかけて、 テロ支援国家の汚名返上を求めてきたかのような印象を受ける。これは基本的に間違いである。背景に国際金融機関からの融資問題があるのだ。

◇重要なのは対米関係

日本の新聞社は、中南米に本格的な拠点を置いて、ラテンアメリカの事件を報じていない。4月13日付け毎日新聞にいたっては、「1990年代から次々と誕生した反米左派政権の多くは、キューバを『思想的盟主』と仰ぎ、産油国ベネズエラの経済援助に頼っていた。キューバが対米関係改善にかじを切ったことで2本の柱の1本を失うことになり、難しい対応を迫られている」などと述べているが、そもそもラテンアメリカ諸国は、一貫して、米国によるキューバに対する経済封鎖に反対してきた。米国との関係改善を求めてきたのである。

ラテンアメリカ諸国がベネズエラに頼っていることも事実だが、やはり経済の鍵を握っているのは、対米関係なのである。ベネズエラか、それとも米国かと言った単純な色分けはできない。

さらに毎日新聞は、ベネズエラのマドゥロ大統領がマスコミの取材を避けるために「影武者」を使っているとか、まったくニュースとして価値がないことを報じている。