中国・北朝鮮・ボリビアが北京で秘密会談か? 金正恩委員長とボリビアのモラレス大統領がまったく同じ時期に中国を訪問
ある2つの新聞記事を検討してみると、「社会主義圏」の興味深い動きが見えてくる。2つの記事とは、時事通信とキューバのプレンサ・ラティナ紙(Prensa Latina)の記事である。
時事通信は、20付けで「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong Un)朝鮮労働党委員長が20日、3度目の中国訪問を終えた」と報じている。このニュースは日本でも大きく報じられた。■出典
一方、プレンサ・ラティナ紙は、19日付け(日本時間では20日)で、「ボリビア大統領であるエボ・モラレスが本日、中国訪問を終えた」と報じている。■出典
つまり金委員長とモラレス大統領がまったく同じ時期に中国の習近平主席と接触しているのである。報道はされていないが、秘密裏に3者の会談が行われた可能性が極めて高い。
◇ボリビア・北朝鮮間には国交が存在しない
今世紀に入るころから、ラテンアメリカでは次々と左派、あるいは中道左派の政権が誕生した。その主要な原因は、新自由主義による政策の失敗である。
このうちボリビアでは、2006年にモラレス政権が誕生した。中卒、労働者階級出身の大統領である。
ラテンアメリカの中では、このモラレス政権とベネズエラのチャベス政権が、キューバのカストロ政権と極めて親密な関係にあった。その関係は、現在も変わらない。一方、中国とキューバとの関係も良好だ。
今回、モラレス大統領の訪中を機に、中国・北朝鮮・ボリビアでなんらかの意思統一が行われた可能性が高い。内容については、分からないが、「社会主義圏」の結束を高める方向で会談が行われたと推測する。
ちなみにボリビアと北朝鮮は、現在、国交が存在しない。中国が北朝鮮の国際的な孤立を解消しようと努力している時期だけに、ボリビアとの国交の樹立の仲介をしている可能性もある。
※ちなみに筆者は、北朝鮮は社会主義国とは考えていない。
【写真】自伝の中国語訳を手にしたモラレス大統領(出典:プレンサ・ラティナ)