メキシコの芸術家が壁画にこだわる理由、「ギャラリーに入れない貧しい人々に絵をみてほしい」、日本で唯一のラテンアメリカ専門誌『中南米マガジン』
日系ブラジル人のアイドル、壁画を描いて政治的な主張を展開するメキシコのアーティスト集団、キューバ音楽をテーマとした映画の制作記録。
『中南米マガジン』は、日本に在住する中南米の人々の生活と、ラテンアメリカの話題を網羅する日本で唯一の中南米をテーマとした季刊誌だ。
最新号には、『「おとぎの国」の革命家集団 ASARO』と題する山越英嗣さんの写真ルポが掲載されている。メキシコのオアハカ市は、観光地としても有名だが、街角の壁画でも知られるようになっている。
壁画で描かれているのは、たとえば「粗末な帽子をかぶった農民が、スーツ姿にシルクハットをかぶり丸々と太った政治家を、手にした山刀で突き刺している過激な内容」である。
2006年、オアハカ市で教員組合のストライキを政府が暴力的に排除する事件が起きた。その時に、地元の美術学校の学生たちが中心になって結成したのが、ASARO(オアハカ芸術家革命集団、Asamblea de Artists Revolicionarios de Oaxaca)である。
州政府も今では、ASAROの実力を認め、資金援助受を行っている。しかし、だからといって政府のプロパガンダ集団になっているわけではない。絵を通じて自分たちの主張を続けている。
ギャラリーではなく、屋外の壁画にこだわるのは、本当に絵を見てほしいのがギャラリーにも行けない貧しい人々であかるからにほかならない。