1. 内閣府だけではない、環境省からも博報堂へ3年で約90億円の国家予算を注入、調査対象が文科省、総務省、環境省へ拡大

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2017年02月13日 (月曜日)

内閣府だけではない、環境省からも博報堂へ3年で約90億円の国家予算を注入、調査対象が文科省、総務省、環境省へ拡大

博報堂と省庁の不自然な取り引きが、内閣府だけではなく、環境省でも10年以上も前に行われていたことが分かった。古い国会議事録を調査したところ、2007年6月8日に、民主党の末松義規議員が、環境省から博報堂へ3年間で約90億円もの国家予算がPR活動費として支出されていた事実を追及していたことが分かった。

現在、内閣府で問題になっているのは、2015年度の25億円などの支出であるが、かつてはもっと大規模な取り引きがあったのだ。

◇国策プロパガンダの仕掛け人

2007年6月8日、末松議員は外務委員会で、博報堂が制作したクールビズのポスターと新聞広告について質問した。このうちポスターについて、末松議員は次のように言う。

これは今月6日に私自身が撮った写真です。(略)柱に、総理(安倍)と若林環境大臣が相互にずっと写真が並んでいるわけですよね。ポスターで。そして、その側面、横に、同じように総理、あと若林環境大臣、そしていろいろな有名企業の社長がどんどん写真に出ているわけです。

若松氏が問題にしたのは、参院選が近づいていたために、安倍首相の顔写真入りの公共ポスターが、選挙のPRを意図したとも考え得るからである。

さらに末松議員は、安倍夫妻が新聞の全面広告のモデルとして登場している問題にも言及した。

これらのPR業務を担当したのが、博報堂である。末松議員は、その博報堂へ莫大な国家予算が流し込まれている事実を指摘した。結論を先に言えば、その金額は、3年間で約90億円である。

末松 博報堂とは年間どのくらいの費用というか契約をやっているんですか。27億円という話を聞きますが、それは事実ですか。

南川参考人  今年度につきましては、年間トータルで27億円の契約をいたしております。

末松 広告については1億6500万円という話が出ていますが、それも事実ですね。

南川参考人 確定作業はこれからでございますが、ほぼ昨年と同じで1億6500万円だというふうに考えております。

末松 最後の質問なんですけれども、博報堂とは、では、ことしと去年とおととし、これはずっと30億円近くのお金で契約をしてきたんですね。(略)

南川参考人 企画競争をして、外部の審査も行った上で、そういった契約をしております。

◇総理直属の機関から職員が博報堂に再就職

巨額の国家予算が博報堂へ流れ込んでいる問題は、実は10年以上も前からあったことになる。博報堂は2009年に発覚した郵政事件の中でも、年間、200億円を超える規模の国家予算を手にしていたことが、朝日新聞などの報道で分かっている。

■参考記事:日本郵政、広告発注に契約書なし 博報堂に368億円(朝日)

その手口のひとつに、民間企業でも被害が報告されている後付け請求がある。現在、内閣府で行われている公共広告の出稿システムがその典型で、見積書もなく、内閣府の職員の裁量で自由に国家予算を博報堂に支払う。しかも、PR活動についてのアドバイスを博報堂から受け、この業務に対しても、約6700万円(2015年度)の「構想費」を支払っているから驚きだ。

改めていうまでもなく、納税者の側から見れば、国が被害を受けているのである。

ちなみに内閣官房(総理直属の機関)から、2014年5月1日に田幸大輔氏(広報室参事官補佐・広報戦略推進官)が博報堂に再就職(広義の天下り)している事実も明らかになっている。

環境省における不自然な取り引きが判明したことで、今後の調査対象は、内閣府、文部科学省、総務省、環境省となった。岩手県など地方自治体と博報堂の関係も、今後、調査する必要がありそうだ。

■末松義規議員の国会議事録

【写真】2015年度も、環境省は、博報堂との間に巨額の契約を結んでいる。約8億6000万円は契約の一例にすぎない。