1. 7段広告を15段で請求の疑惑、3・11からの「復興」をテーマにした政府広告で

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2016年10月21日 (金曜日)

7段広告を15段で請求の疑惑、3・11からの「復興」をテーマにした政府広告で

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今年(2016年)の3月10日に、岩手日報、河北新報、福島民友、福島民報の4紙に、被災地からの復興をPRする全面15段の政府広報が掲載された。制作料と掲載料は、1225万8702円。請求書の発行元は博報堂である。

この広告について調査したところ、不透明な部分が多いことが分かった。

既に述べたようにこの広告は、全面15段である。しかし、実際に政府広報になっているのは、下の7段だけで、上の8段は、「復興」というテーマこそ同じだが、各地方紙の制作になっている。たとえば福島民友に掲載された広告の場合、上の8段スペースには、「企画制作/福島民友新聞社広告局」のクレジットがあり、下の7段スペースに「政府広報/復興庁」のクレジットがある。

実際、請求書によると、版下の制作費(原稿料と製版料)に関しては、博報堂は下の7段分しか請求していない。

これを逆説的に考えると、当たり前のことだが、上の8段分の制作は福島民友が行い、自分で政府に請求したことになる。

◇東北協同乳業の証言

念のために筆者は、福島民友の上の8段スペースで紹介されている東北協同乳業とう会社に電話取材した。その結果、福島民友の制作である事が確認できた。

東北協同乳業によると、同社は広告掲載料を支払っていない。記者が取材して、「広告」で企業の紹介をしてくれたのだという。「広告」に登場している他の団体についても同じだった。つまり登場した団体は広告の素材で、広告主は政府ということになる。

博報堂が地方紙による制作分の上8段スペースの版下制作料を、内閣府に請求しない根拠は、版下を制作したのが福島民友であるからだ。

博報堂の請求書に、福島民友が制作した版下制作料は含まれていないので、当然、福島民友は内閣府にこの料金を請求しているはずだ。それと同時に、自社の紙面に掲載した広告(上8段スペース)の掲載料も請求していると考えるのが自然だ。この広告の関するすべての行程を自分でやって、版下制作料だけ請求し、掲載料は請求しないことなどあり得ないからだ。

ところが博報堂の請求書によると、制作料に関しては自社が制作した下の7段スペース分だけだが、掲載料に関しては全面15段分を請求しているのだ。つまり2重請求が発生している疑惑があるのだ。

◇広告代理店の名前を隠蔽

博報堂が制作した版下を福島民友の紙面に掲載するというのであれば、博報堂に対する料金も発生するが、自社が制作して自社の新聞に掲載した広告から博報堂が利益を得る原理にはならない。

企画の紹介料のようなものが含まれているとしても、請求書にはそんな項目は見あたらない。

ちなみに福島民友は、この政府広報はすべて広告代理店が制作したと話しているが、請求書ではそれが裏付けられない。

かりに博報堂が福島民友に制作の一部を委託していたとすれば、制作料の適用範囲も、掲載料と同様に15段にならなければ辻褄があわない。

さらに次のことも言える。政府広報に関する契約書には、「あらかじめ再委託の相手方の住所、氏名、再委託を行う業務の範囲、再委託の必要性及び契約金額について記載した書面」を提出して、承認を受けなければならないのだ。

いずれにしても政府広報にしては、あまりにも不透明な部分が多い。

筆者は福島民友に対して、博報堂の名前を伏せて取材し、最後に、広告代理店の名前を聞いたのだが、「教えられない」との回答だった。