1. 電通と博報堂から自民党へ政治献金が約600万円、見返りに45億円の政府広報費を獲得

大手広告代理店に関連する記事

2017年12月08日 (金曜日)

電通と博報堂から自民党へ政治献金が約600万円、見返りに45億円の政府広報費を獲得

11月末に公表された政治資金収支報告書(2016年度分)によると、自民党の政治資金団体である国民政治協会に対して、広告代理店の大手、電通と博報堂が政治献金を支出していることが分かった。詳細は次の通りである。

博報堂:115万円(6月20日付け)
電通:240万円(6月30日)
   240万円(11月30日)

企業が自民党へ献金する目的のひとつに、公共事業の受注競争を優位に進めたいという思惑があるようだ。政治献金で規模の大きな仕事を受注できれば、政治献金の支出負担を相殺したうえに、それをはるかに上回る額の公共事業収入を得られるからだ。

2016年度に博報堂と電通が得た政府広報費についての情報は、現時点では、後述する理由で、筆者の手元にないが、2015年度分は情報公開制度で入手している。それによると電通が約25億円、博報堂が約20億円である。

下記の表を参考にしてほしい。

これだけ莫大な額の広告費を獲得できれば、政治献金の負担など皆無に等しい。

ちなみに博報堂が制作したテレビCMに関する金銭の明細は一部が不明のままになっている。さらに広告主である内閣府の裁量だけで、書面も作成せずに湯水のように国家予算が博報堂へ支払われていた事実も、筆者の調査で明らかになっている。開示された資料の大半は黒塗りだ。内閣府や内閣官房から博報堂への天下りも、複数確認されている。元内閣参与の児玉誉士夫の側近が、博報堂の関連会社の役員を務めていた時期があった事実も確認している。

博報堂の会計に関する問題については、筆者は弁護士を通じて、会計検査院に調査を求めている。参考までに陳述書と申立書を再録しておこう。

陳述書

申立書

会計検査院に申し立てを行ったのが、今年の5月8日であるから、すでに半年が過ぎているが、現在のところ音沙汰はない。

【参考記事】 会計検査院に提出した審査要求書と陳述書を全面公開、国家予算の「闇」は昔から何も変わっていない

◇情報開示まで1年が必要か?

既に述べたように、2016年度に内閣府から広告代理店へ流れた広告費の明細は、現在、情報公開を請求中である。最初に開示を求めたのは、2016年の夏だった。その時は、「年度が改まる2017年の5月ごろには公開できるので、2016年度が終了した時点で請求してほしい」と言われた。

内閣府の言い分にも理があったので、筆者は2016年度が終わった今年の春に、情報公開請求を行った。ところが量が膨大になるという。それでもかまわないから全部を開示するように求めた。内閣府は、「開示作業に1年は必要」と言う。筆者はそれでも問題ないと回答した。

その後、内閣府から資料の一部が開示されたが、大半は開示されていない。それでも開示期限まで半年になった。やましい部分がないのであれば、さっさと開示すればいいわけだが、それが出来ない実態があるようだ。

森友・加計事件と同じような情報隠しの体質があるようだ。日本のメディアは、大手広告代理店を批判しない体質だから、ジャーナリズムの光が当たらないところで、想像以上に深刻な腐敗が進んでいる可能性もある。