博報堂によるエクセルやワードによる「手作り」請求書、対象は内閣府と中央省庁だけ、地方の「役所」宛ては正常
博報堂が内閣府や中央省庁に対して発行した請求書にインボイス・ナンバー(書類の番号)が欠落しているものが多量にあることは既報したとおりである。
これに対して、博報堂が地方自治体に対して発行した請求書はどうだろうか。筆者がこれについて調べたところ、サンプル数は少ないものの、正常であることが分かった。
つまり不正経理疑惑の対象となるのは、内閣府と中央省庁だけということになる。内閣府と中央省庁からは、これまで博報堂へ多人数が天下りしており、癒着関係はないのか、厳密な調査が必要になる。
【参考記事】1975年ごろから博報堂へ続々と天下り、元国税庁長官2名、内閣府からも多数、警察関係者も、病的腐敗の温床か?
◇インボイス・ナンバー欠落の何が問題なのか?
この問題に言及する前に、一般論になるが、インボイス・ナンバーの欠落がどのような疑惑の温床になっているのかを再度説明しておこう。重要なポイントであるからだ。
結論を先に言えば、インボイス・ナンバーの欠落は、裏金づくりの温床になる。そこで大企業の場合、ほとんど例外なくコンピューターと連動した会計システムを導入し、インボイス・ナンバーにより、見積書、請求書、納品書の正しいく管理している。例外的にインボイス・ナンバーを使わないのは、個人業者だけである。
そのインボイス・ナンバーが、中央の「役所」においては、付番されていない驚くべき事実は、原則的にはコンピューター連動の正規の会計システムから外されていることを意味する。これでは、少数の例外はあるにしろ、会計監査やシステム監査の対象外になってしまう。すなわち裏金作りの温床にもなるのである。
コンピューターが打ち出す公式の請求書ではないわけだから、必然的に企業のロゴも入っていない。
あえてインボイス・ナンバーを外した請求書からは、次の点を検討する必要がある。
①裏金づくりの可能性。
②裏金は申告しないから、脱税の可能性。
③請求書が裏金づくりを目的とした正規のものではないわけだから、有印私文書偽造になる可能性。
④「①」から「③」を事情を請求書を受け取った側が知っていれば、担当者は背任ということになる。
⑤業務実態と請求内容や金額が異なる場合は、詐欺または横領となる。
既報したように、現在、筆者は会計検査院に対して博報堂と内閣府の取り引きを調査するように申し立てを行っている。あまりにも分からない部分が多く、しかも、あずさ監査法人が取材を拒否したからである。博報堂も十分に説明していない。社内ではインボイス・ナンバーを付番して、問題も起きていないと説明しているだけだ。あえてインボイス・ナンバーを外して、別の仕立ての請求書にした合理的な理由は分からない。
◇疑惑があるのは中央の「役所」
さて、博報堂は地方自治体との取り引きに関しては、どのような請求書を発行しているのだろうか。既に述べたように、請求書のサンプル数は少ないものの、筆者が調査した範囲では、正常な請求書が使われている。
たとえば次に示すのは、岩手国体(2015年度)の実行委員会宛に送った請求書である。
「うな子」の動画が児童ポルノとの批判を受けた鹿児島県志布志市に宛てた請求書も正規のものだ。制作費が800万円で、通常の8倍から16倍ぐらいになっている異常さはあるが、請求書そのものには問題がない。
調査結果から、疑惑のある請求書が使われているのは、内閣府と中央省庁だけということになる。これらの「役所」で、博報堂があえてインボイス・ナンバーを外した「手作り」請求書を使った理由は、現段階では不明だ。
筆者は不透明な国家予算を新聞広告の掲載料として受け取ったとされる全国73の新聞社の広報担当に、受領した金額の開示を求めている。現段階で、回答した新聞社は1社もない。受け取ったのか、受け取らなかったのか、それすらも回答していない。
【動画解説】博報堂を通じて「血税」を新聞社やテレビ局に湯水のように流し込む仕組み
◇「手続請求書」の実物
博報堂がインボイス・ナンバーが付番されていない請求書を発行した先は、
内閣府、農林水産省、防衛省、文部科学省、環境省、復興省。下記のPDFを参考にしてほしい。1枚目は、博報堂の正常な請求書(厚生労働省宛て)である。2枚目からが、ワープロやエクセルによると思われる「手作り」の請求書である。(内閣府分は入っていない)
【写真】児玉誉士夫氏、元内閣参与、元A級戦犯容疑者