博報堂が制作した不可解な新聞広告、前代未聞「世界初」のレイアウト
新聞のテレビ欄にレイアウトされた奇妙な広告。もともとは横長の長方形の広告なのに、それが新聞紙面上で縦にレイアウトされているので、読者は顔を横に寝かせるか、新聞紙面を反転させなければ、広告のキャチフレーズが読みにくい。写真で紹介されている商品も横転しているよう見える。
この爆笑を誘う前代未聞の広告が掲載されたのは2012年11月15日付け西日本新聞である。広告のクライアントであるアスカコーポレーションが言う。
「確かに弊社が西日本新聞に広告を掲載するように博報堂に依頼しましたが、その後、このような広告が掲載されていたことには気づきませんでした。通常、広告を出したときは、掲載紙が送られてくるのですが、その記憶もありません。こんな広告を掲載すると、読者は『この会社はバカか』と思うでしょう」
広告を制作したのは、博報堂である。次のPDFが問題の広告である。左下の細長い広告、「世界初」の箇所に注意してほしい。
◇「見積書」も後付の前代未聞
博報堂がアスカに送付した「見積書」によると、この広告の価格は75万6000円。
奇妙なことに、広告の掲載日は11月15日であるが、「見積書」が発行された日付けは、それより後の11月30日である。本来、見積書は広告掲載日よりも前に提示して、クライアントの許可を得なければならないが、後付けの「見積書」になっているのだ。これについては、現在、原因を取材しているので、今後、詳細を報告する機会があるかも知れない。
◇西日本新聞の見解
念のために西日本新聞の「お客様センター」と広告担当者に事情を尋ねてみた。お客様センターの電話に対応した女性は、次のように話している。
新聞社:「今日はじめてこんなのを見ました(笑)」
筆者:「博報堂がやった広告なんですけど」
新聞社:「ああ、そうなんですね」
筆者:「これだけなんでしょうか。他にも同じようなものがありますか」
新聞社:「いえ、わたしも今日はじめてみました」
一方、広告担当者は次のように話す。
新聞社:「テレビ欄のページはレイアウトが決まっています」
筆者:「そうすると本来はタテの広告を制作する必要があったということですね」
新聞社:「横だと読みにくいので、基本はタテですね。」
◇職能の問題
この奇妙な広告が制作された時期、博報堂はアスカに40名近い人員を送り込んでいた。しかし、調査により現在までに確認できた当時の正社員は、現地採用も含めるとたった2名だけで、名刺は博報堂のものを使っていたものの、クリエータとしての職能が不十分な非正社員が多数混じっていた可能性が高い。
その結果、前例のない奇妙な広告を掲載する事態になったと思われる。
【参考記事】
【産経】津波記録誌で「怠慢」編集 岩手県大槌町、東北博報堂との契約解除