1. 恫喝による新聞拡販から、今は恫喝によるNHK受信料の徴収へ、ジャーナリズムの財源確保の方法として道義的問題はないのか?

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2018年08月30日 (木曜日)

恫喝による新聞拡販から、今は恫喝によるNHK受信料の徴収へ、ジャーナリズムの財源確保の方法として道義的問題はないのか?

NHKの受信料の徴収方法に対して、住民から疑問の声が後をたたない。ジャーナリズムの財源確保の方法として、道義的な問題はないのだろうか?

「面識のない女性からいきなりスマホに電話がかかってきて、NHKの受信料を支払うように言われました。なぜ、女性がわたしの電話番号を知っているのか気味が悪くなりました」

東京都中野区の男性(74歳)が言う。男性は、「NHKから国民を守る党」の立花孝代表に相談して、次のようなアドバイスを受けたという。

「契約をしていないのであれば、支払う必要はない」

インターネット上にも、NHKの受信料徴収について疑問を呈する記事やツイッターの投稿が見られる。その中には、ひつこい集金の実態を告発するものはいうまでもなく、テレビもスマホも使っていないのに、いきなり契約書を突き付けられたといったものもある。

筆者の知人も、NHKの営業マンに自宅に押し入られそうになった体験を持つ。

こんなふうにNHKの受信料徴収は、いま社会問題になっている。

◆恫喝で財源確保

かつて恫喝的な新聞拡販が社会問題になっていた時期もある。1990年代である。ジャンバーなどを着た新聞人が徒党を組んで特定地域に入り、ビール券や商品券をばらまきながら、新聞購読の契約を迫る光景があたりまえに見られた。

ドアを開けなれば、延々を呼び鈴を鳴らし続ける手口もあった。購読を断った市民が鉄拳制裁をうけたケースも多数報告されている。

景品に包丁を使って問題になった事件もある。新聞拡張団の元団員が言う。

「包丁の刃先を相手に向けて、『ひと月(ひと突き)だけ取って下さい、ひと突きだけ』と脅すんですよ。契約に応じるまで、玄関に座り込んだこともありますよ」

新聞業界も対策に乗りだしたが、部数至上主義の下ではなんの効果もなかった。結局、こうした拡販方法は、新聞産業の衰退に伴い経費が捻出できなくなり消えていった。

◆業界内部から改善を求める声はあがらない

日本の新聞社とNHKには汚点がある。

しかし、こうしたジャーナリズムのモデルについて、業界内部から改善を求める声は、過去も現在もあがらない。

普通の感覚の持ち主であれば、自分の書く記事が恫喝により販売されているとなれば、対策を提案する。自分の制作する放送番組が、個人情報を盗んで徴収にこぎ着けた受信料で成り立っているとなれば、別のモデルの必要性を感じるはずだ。

が、日本ではそうした声がジャーナリズムの現場からまったくあがってこない。記者に自分たちがジャーナリズムの仕事をしている自覚がないのではという気がする。