1. 憲法改正国民投票のPRに関する民放連の見解、電通が担う負の役割を隠した偏向報道、ジャーナリズムの深刻な構造的問題

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憲法改正国民投票のPRに関する民放連の見解、電通が担う負の役割を隠した偏向報道、ジャーナリズムの深刻な構造的問題

憲法改正の是非を問う国民投票。それが実施される際に新聞社とテレビ局は莫大な広告・CM収入を手にすることになる。投票に先立って、賛否両派がPR作戦を展開するからだ。

そのPR作戦の規制に関して、民放テレビ局で組織する民放連(日本民間放送連盟)の見解が明らかになった。時事通信の報道によると、「民放連は規制に慎重な姿勢を示した」という。

衆院憲法審査会は12日の幹事懇談会で、憲法改正国民投票をめぐり、テレビCMなど有料広告規制の在り方について日本民間放送連盟(民放連)から意見を聴取した。

  民放連は法規制に慎重な姿勢を示した。一方、立憲民主党など野党側は規制強化を主張しており、本格議論は秋に想定される臨時国会に持ち越された。■出典

民放連は規制を設けないことで、テレビ局が莫大なCM収入を得られる条件を整えようという魂胆のようだ。

そんな野心に加勢するかのように、この記事は最も肝心な情報を隠している。

◇肝心な点を隠した報道

改憲派(自民・公明)は、これまでの慣例からすると電通をパートナーとして改憲を是とするPR作戦を展開する。電通と組むことで圧倒的に優位な作戦を展開できる。

テレビCMには、時間帯による「放送枠」というものがあるのだが、それを所有している割合が圧倒的に多いのが電通であるからだ。しかも、「放送枠」は、少なくとも3カ月前に予約しなければ確保できない。

そうなると改憲派の与党は、国民投票の実施日を秘密裏に計画し、それにそって国会を運営し、同時に電通を使ってかなり早い時期から、CM「放送枠」を押さえることができる。これに対して、護憲派は野党が中心なので、国民投票の実施日を事前に知ることが出来ず、しかも、「放送枠」そのものが少ない。結局、ほとんどCM戦略を展開できないことになる。

憲法改正国民投票の問題は、改憲派と電通が手を組んで、潤沢な資金をバックに大がかりなCM作戦を展開する一方で、護憲派は準備段階から遅れを取り、ほとんどPR活動が出来ない点にある。

それを是正しようという声が国民の間からあがっているのである。

しかし、時事通信の記事は、この肝心な点を隠して、「民放連は法規制に慎重な姿勢を示した」とだけ報じているのだ。新聞社とテレビ局が莫大な広告収入をほしがっているから、最も大事な情報を隠したのである。

ここにも日本のジャーナリズムの深刻な構造的問題がある。

この問題は、作家の本間龍氏が詳しい。参考までにインタビュー記事を紹介しておこう。

【参考記事・ビジネスジャーナル】憲法改正と電通、国民投票の危険な欠陥…巧妙な情報操作でメディアと国民は改憲に傾く