1. NHKが12年間で4382件の訴訟、受信料問題で、ジャーナリズムの財源確保の手段として疑問

テレビ業界に関連する記事

2017年12月14日 (木曜日)

NHKが12年間で4382件の訴訟、受信料問題で、ジャーナリズムの財源確保の手段として疑問

NHKに対する苦情が増えている。消費生活センターの統計によると、2007年には2000件に満たなかった相談件数が、2016年には、8472件になった。10年間で4倍になったのだ。

このデータに連動するかのように、受信料を支払わない住民をNHKが提訴する件数が増えている。筆者の知人のフリーランス編集者・ライターも、越谷簡易裁判所の法廷に立たされ、26万円の支払い判決を受けた。優越的な地位で圧倒するマスコミ企業が、同業のフリーランスから、ひと月ぶんの生活費を奪ったのだ。ジャーナリズム活動の財源を確保する手段としては、問題を孕んでいるのではないか。

◇支払督促申立て総件数 9403件

NHKが公表しているデータによると、NHKが実施した法的手続の内訳は次に通りである。

◎ 支払督促申立て総件数 ・・・9403件(平成18年11月~29年9月)

【内訳】
・解決済(支払済、分割支払中) ・・8327件 ※うち全額支払済7,448件

・判決、支払督促が確定(未払い) ・・・・909件
・訴訟中 ・・・・・54件 ※うち上訴3件
・手続中 ・・・・113件

○ 異議申立により訴訟に至った件数 ・・・4077件
・和解、裁判所による決定等 ・・2956件
・判決 ・・1,067件 ※上訴中を除く
・訴訟中 ・・・・・54件 ※うち上訴3件

○ 強制執行申立て件数 ・・・1126件
・解決済(本人支払い、強制執行で回収等)・・485件
・手続中 ・・・・641件

※強制執行実施件数 ・・・・309件 ※全額回収138 一部回収171

2.放送受信契約の未契約者に対する提訴の状況
◎ 世帯 ・・・・・281件
・解決済 ・・・220件
・判決(未払い) ・・・・32件
・訴訟中 ・・・・29件

◎ 事業所 ・・・・・・24件
・解決済 ・・・・18件
・訴訟中 ・・・・・6件

◇英国のBBCの誤り

NHKは12年間で4382件の訴訟を起こした。年間の提訴件数は平均で365件である。ほぼ1日に1件の訴訟を起こしている計算になる。トラブル対処の手段であるから、提訴行為が訴権の濫用とまでは言えないにしても、明らかに裁判を利用して、自分たちのジャーナリズム活動の資金を確保する戦略を進めていると言えよう。

こうしたビジネスモデルがジャーナリズム企業に採用され、内部の記者から批判の声があがらないのは重大だ。

最高裁は6日に、NHKの受信料徴収について「合法」の判断を示した。イギリスのBBCは、国が介入してジャーナリズムの財源を集める制度を取っているが、NHKはBBCに一歩近づいたのである。

しかし、ジャーナリズムの財源を、公権力の介入で獲得する状況が、権力からの独立を大前提とするジャーナリズムの原則から大きく外れていることは言うまでもない。

ちなみにBBCを賞賛している人々の中には、BBCの報道を賞賛した上で、NHKもBBCを手本とすべきだという考えの人が多い。しかし、視聴者が知らないだけで、BBCも「自己規制」している可能性が高い。正確にモニターしてないが、そんな話をちらほらと聞く。

こんなふうに考えると、NHKはやはり国策放送局である。政府の広報部であり、情報収集部隊である。それ以外の何者でもない。

◇安倍内閣を「支持する」が49%

ちなみにNHKが発表した12月の世論調査では、安倍内閣を「支持する」が49%で、「支持しない」35%を大きく上回った。読者は、この数字を信用するだろうか。あまりにも不自然な気がする。せめてデータの裏付けを公表してほしいものだ。