最高裁が6日に憲法判断、NHKの受信料問題で、受信契約の片務性こそが問題
最高裁判所は、6日、HNKの受信料の支払いをめぐる憲法判断を示す。この訴訟は、受信料を支払わなかった男性が、NHKから提訴されたのが発端である。裁判では、「契約の自由」が争点となり、地裁と高裁は、NHKの公共性を理由にNHKの訴えを認めた。
このところNHKの強引な受信料徴収が社会問題になっている。契約しない世帯を繰り返し訪問し、時には声を荒げて契約を迫る。高齢者や母子家庭にも配慮しない。新聞人による恫喝めいた新聞拡販と、放送人によるしつこい受信料徴収は、日本のメディアの2大恥部といっても過言ではない。記者も、それが恥ずかしい行為だとは感じていないようだ。
◇口答の片務契約の異常
NHKの受信料徴収を疑問視する人は、おおむね次の2タイプに分類できる。受信料を支払った上で、その不当性を主張するタイプと、受信料を支払わずにその不当性を主張するタイプである。
筆者は後者である。とはいえ契約を考慮したこともある。繰り返しNHKの集金人がやってくるので、ある時、筆者からNHK支局に電話して、契約書を送付するように申し入れた。
NHKから契約を求めてきたわけだから、契約内容を知るのは当然の権利だった。契約前にどのような条項になっているのかを知りたかった。
ところが、契約書と称して送付されてきたものは、単なる申込用紙だった。もちろん契約当事者の権利と義務などは何も記されていない。普通、契約という場合、双方が権利と義務を確認した上で、捺印するものなのだが、NHKの受信契約書には、それに該当する条文はまったく存在しない。
つまりNHKの権利だけを認めた口答の片務契約である。
それでも筆者は、NHKに口答の契約内容を確認したいので、説明に来るように伝えた。すると、相手は「上司と相談してから考える」と言った。
これを機にNHKの訪問はぴたりと止まった。そこで筆者は、説明に来ないのであれば、筆者が支局へ足を運び、契約に関する説明を聞きたいと申し入れた。が、不思議なことにこれも断られた。
そこで契約してもいいが、条文がある契約書を作成するように伝えておいた。内容に合意できれば、契約すると伝えておいた。
◇「押し売り」の評価
NHKの受信契約に条文が存在しないのは大きな問題である。有料のニュース・サイトであれば、加入の有無は自由であるから、契約書は必要ないが、金銭の徴収に強制が伴うNHKの受信料のケースでは、少なくとも条文が存在する契約書が必要だろう。契約書が存在しない契約など、ほとんど聞いたことがない。
口答の契約という形式を認めるとしても、その内容については問題がある。NHK側の権利だけを一方的に保障した片務契約であるからだ。NHKには、視聴者と一緒に健全なジャーナリズムを育てようという気持ちなどまったくない。
「契約の自由」をめぐる論争以前の問題として、書面による条文が存在しない片務契約の異常性こそが、NHKの受信料契約をめぐる最大の問題ではないか。
契約を強制する行為が「押し売り」という評価を受けているゆえんにほかならない。