1. 食費を切りつめてまでNHK記者の高給待遇を支援する義務はあるのか、放送受信契約は「片務契約」、違憲訴訟が必要

テレビ業界に関連する記事

2017年08月02日 (水曜日)

食費を切りつめてまでNHK記者の高給待遇を支援する義務はあるのか、放送受信契約は「片務契約」、違憲訴訟が必要

NHKが受信料の支払いに応じない家庭(テレビがない家庭も含む)に対して、「すぐに開封いただき内容をご確認ください」と記した封筒をポスティングしていることをご存じだろうか?

封筒には複数の書面が入っている。そこに書かれていることは、HNKは公共放送だから、受信料を支払うことが法律で義務づけられている、支払わなければ、最終的には、「裁判所を通じた法的手続きの実施」を断行するというものである。

これでは学生や母子家庭は、大変な精神的負担を感じるだろう。なかには、自分の食費を切りつめて、なぜ、NHK職員の尋常ではない高給待遇をサポートする義務があるのかと疑問を持つ人も多いのではないか。NHKの記者が、自分の生活を犠牲にしてジャーナリズム活動を展開しているIWJの岩上安身氏のような方ばかりだとしても、特定のメディアを強制するのは押し売りである。

◇片務契約と押し売り

NHKは受信料契約の締結を要求しながら、契約書を作成しない。契約というものは、双方がその内容に合意してはじめて成立するものだ。NHKの場合は、その契約書が存在しないうえに、視聴者の義務だけを定めた「片務契約」である。

常識的に考えれば、公共放送という場合、NHKに対して国民は身の回りの社会問題を取材し報道するように要請する権利が生じるはずだ。筆者の場合は、「押し紙」の資料を提供しようとしたが、受け取りそのものを拒否された。筆者の知人は、携帯電話の基地局問題の取材をドタキャンされた。国策に反する番組は、原則として取材・放送しないのだ。

受信料を支払うということは、その内容について、要求を出す権利を有するということである。当然、予算の使途も公開しなければならない。要求が受け入れられなければ、契約を終了する自由もある。支援金で運営されているウエブサイトは、例外なくこのような厳しさを常識としてみずからに課して活動しているのである。

ところがNHKは、法律を上段にかざして受信料を取り立てている。これはかつて流行した恫喝による新聞拡販と同じ手口である。応じる必要はないだろう。

◇違憲訴訟が必要

NHKは放送法64条で「(日本放送)協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」と明記されていることを根拠に、受信料を徴収している。

しかし、憲法19条は次のように述べている。

思想及び良心の自由は、これを侵してはならない

実質的に国策放送局になっているNHKが強制的に受信料を徴収する行為が、思想の自由を侵していることは疑いない。思想や主張のないジャーナリズムなどありえない。改めて言うまでもなく、放送法よりも憲法が優先される。従って違憲訴訟が必要ではないか。

◇英国のBBCの誤り

メディア研究者の中には、英国がBBCへの受信料支払いを義務化している一方で、時には政界の腐敗を暴きだすなどジャーナリズム性を発揮していることを根拠として、われわれ日本人も英国の制度にならうべきだと主張する人もいる。この種の研究者が念入りにBBCをモニターしているのかという疑問もあるが、たとえジャーリズム性を発揮していても、特定のメディアを支援することを強制するのはやはり誤っている。

英国のメディア政策を筆者はまったく評価していない。