1. 進む日本の右傾化、新聞販売店を通じた警察の市民監視活動にみる異常、読売だけではなく朝日も

新聞社と警察の関係に関連する記事

2014年06月12日 (木曜日)

進む日本の右傾化、新聞販売店を通じた警察の市民監視活動にみる異常、読売だけではなく朝日も

今年に入ってから、路上で警察に職務質問をされたという話があちこちから聞こえてくる。こんなことはかつてはなかった。安部政権がスタートした後に、顕著になってきた現象にほかならない。昨年12月に、特別秘密保護法が成立したのちに浮上した現象である。

しかも、その職務質問のやりかたが、スパイを連想させる尋常を逸したものになっている。昨日(11日)、東京のJR池袋駅の地下で、たまたま職務質問の場面を目撃した。

地下道を歩いているとき、前方から、ジーンズとTシャツという身軽な服装の男性ふたりが近づいてきた。どこでもみかける若者である。このうちのひとりは、準スキンヘッド。とても警官とは思えない。むしろ「プ―太郎」のイメージがあった。

当然、わたしは気に留めることもなかった。と、二人は突然に申し合わせたように速足でひとりの青年に近づいた。ポケットからさっと何かを取り出すと、青年に示して、

「警察の者ですが・・・」(後はよく聞き取れなかった)

警察手帳を示したのである。

11月6日には、東武東上線の成増駅(板橋区)で、2人の制服警官が外国人に対して、登録証明書を示すように求めている場面を目撃した。その数日前には、わたし自身が朝霞市内で自転車に乗っていたところ、パトカーの警官に呼び止められ、自転車の登録の確認を求められた。

自分自身が体験したり、目撃した限り、警官が横柄な言葉づかいをすることはなかった。極めて紳士的な態度を示す。しかし、警察が市民を厳しく監視するようになっていることは紛れもない事実である。

◇読売防犯協力会

警察による市民の監視活動は巧妙になっている。実は、防犯を口実に、新聞販売店を通じても防犯活動は行われてきた。読売防犯協力会のケースは、MDKで繰り返し取り上げてきたが、見過ごせない問題なので、再度、検証してみよう。

読売防犯協力会は、読売新聞販売店と警察が協力して、防犯活動を展開する 制度の母体である。新聞配達や集金に携わる新聞人が、配達時や集金先で「あやしげな人間」をみかけたら、警察に通報するシステムになっている。

同協会のホームページによると、活動目標は次の4点である。

?1.配達・集金時に街の様子に目を配り、不審人物などを積極的に通報する

?2.警察署・交番と連携し、折り込みチラシやミニコミ紙などで防犯情報を発信する

3.「こども110番の家」に登録、独居高齢者を見守るなど弱者の安全確保に努める

4.警察、行政、自治会などとのつながりを深め、地域に防犯活動の輪を広げる

読売防犯協力会と覚書を交わしている全国都道府県の警察は次の通りである。

■覚書を交わした警察のリスト  

◇朝日も警察に協力

読売以外の販売店も警察に協力 ? しかし、警察との協力関係を構築しているのは、読売新聞販売店だけではない。日本新聞協会そのものが、警察との協力関係を奨励し、読売以外の新聞販売店も同じようなことをやっている。具体例を紹介しよう。

?東京都板橋区に新聞販売店で組織する板橋新聞販売協同組合という組織がある。この組合(販売店)も、地元警察と協力して防犯活動に取り組んでいる。この活動に対して日本新聞協会は、2007年、地域貢献大賞の奨励賞を贈っている。(参考記事)  

?また、北海道のASA手稲東部、ASA発寒、ASA稲穂、ASA八軒、ASA西野に対しても警察と協力して地域パトロールなどの活動を行ったとして、地域貢献大賞・奨励賞を贈っている。読売だけではなくて、規模こそ小さいが朝日も同じことをやっているのだ。(参考記事)

?さらに2008年には、「警察署の防犯活動に長年にわたり協力」したとして、京都新聞洛南販売所の松井憲昭所長に地域貢献賞を贈っている。(参考記事)

◇非常識な警察と新聞社の関係

しかし、警察との協力関係を構築しているのは、読売新聞販売店だけではない。日本新聞協会そのものが、警察との協力関係を奨励し、読売以外の新聞販売店も同じようなことをやっている。

そもそもジャーナリズム企業は、公権力を監視するのが役割である。ところが日本の場合、新聞社と巨大権力?警察が協力関係にあるのだ。新聞関係者には、それが「異常」という認識がないようだ。それ自体が常識では考えられないことである。

新聞社と警察が特別な関係を構築している状況の下で、新聞社が取材で得た情報の漏えいをどう防ぐのかも疑問が残る。