1. 新聞販売店と警察の関係について日本新聞協会に電話インタビューしてみた 「異常」という認識は皆無

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2014年02月03日 (月曜日)

新聞販売店と警察の関係について日本新聞協会に電話インタビューしてみた 「異常」という認識は皆無

新聞に対する消費税の軽減税率の適用の是非を考える上で、考慮しなければならないのは、日本の新聞社の特異な体質である。彼らが一方では社会正義の旗を掲げ、もう一方では、新聞ジャーナリズムの根幹にかかわる重大なあやまちを繰り返し犯してきた事実は、本サイトで繰り返し報じてきた。

具体的には、「押し紙」(公称部数の偽装)、それにともない紙面上の公共広告の価格を不当にかさ上げしてきた事実、新聞社の一部の幹部が安倍首相と会食を重ねてきた事実。公共広告を媒体とした官庁や裁判所との癒着。そしてここにきて浮上したのは、警察と新聞社の親密な関係である。

警察と新聞社の協力関係。これは欧米では絶対にありえない。

その典型例が全国読売防犯協力会の活動である。全国のほとんどの警察が同協会と覚書を交わして、次のような活動を展開している事実がある。同協会のウエブサイトは、活動目標として、次の4点を明記している。

(1)配達・集金時に街の様子に目を配り、不審人物などを積極的に通報する

(2)警察署・交番と連携し、折り込みチラシやミニコミ紙などで防犯情報を発信する

(3)「こども110番の家」に登録、独居高齢者を見守るなど弱者の安全確保に努める

(4)警察、行政、自治会などとのつながりを深め、地域に防犯活動の輪を広げる

覚書を交わしている全国の警察は、次の通りである。

 ■全国読売防犯協力会と警察の覚書一覧=ここをクリック?

(1)(4)の活動の何が問題なのか?結論を言えば、「民間人」が「民間人」を監視して、情況を警察に報告する制度が構築されてしまうことが問題なのだ。これは戦前の「隣組」の発想と同じだ。

海外では、1980年代に中米グアテマラの軍事政権が、自警団と呼ばれる住民が住民を監視して、解放戦線のシンパを取り締まる政策を敷したことがある。結果、住民監視がエスカレートして、最後はジェノサイド作戦を断行するに至った。(昨年、当時の大統領リオス・モントは、禁固80年の判決を受けた。)

 ■リオス・モントに禁固80年=ここをクリック

新聞業界と警察の関係を日本新聞協会に直接質問してみた。

◇防犯活動に対する疑問の声は皆無

「岡山県などで、新聞販売所と県警がセーフティーネットワークを結んで、災害や事故の通報で協力しています」

・・・岡山県だけですか?

「いえ、いくつかあると思います」

・・・読売防犯協力会という組織がありますが、この組織も含まれていますか?

「いろいろな組織が含まれると思います」

・・・含まれるということですね。

「はい」

・・・警察と協力関係を結ぶことに、新聞社という立場上、問題はありませんか?

「どうお考えになるかは、黒薮さんのご判断です。県警と販売所がそういう協定を結んでいらっしゃるということです」

・・・たとえば新聞販売店の店員が集金に行った先で、「あやしげな人」がミーティングを開いていたとします。そうすると、警察に通報することになりますよね?

「こちらで把握しているのは、災害や事件・事故などの通報の協定を結んで協力しているということで、ミーティングを開いているといったことの通報は把握していません。事件・事故の通報ということになります」

・・・あやしげな人がいれば通報すると、読売の場合はなっていますが?こうしたことを問題視する声は、(業界内に)全然ないのですか?

(黒薮注:読売防犯協力会の4つの目標のひとつに、次のようなものがある。「配達・集金時に街の様子に目を配り、不審人物などを積極的に通報する」 )

「質問は、防犯のネットワークに関してですね」

・・・ええ、それについて質問しています。

「それ以上のものは特にないですが」

・・・特に批判は出ていないということですか?

「批判ですか?」

・・・ええ、疑問の声とか

「この表現自体にはありません」

(黒薮注:「この表現」とは、新聞協会のウエブサイトに掲載されている『新聞の公共性と役割』と題する次の文章に言及したもの。「新聞販売所は毎日決まった時間に、全国各地の家庭や会社に新聞を配達しています。販売所が届けているのは、それだけではありません。一人暮らしのお年寄りを見守ったり、防犯ネットワークに協力したりするなど、地域に安心や安全を届けています。」)

・・・活動についてはどうですか。

「こちらも把握しているものはありません」

◇秘密保護法と渡邉恒雄

それにしても読売防犯協力会の活動に対して、新聞関係者が疑問の声があげないのは奇妙だ。そういえば渡邉恒雄氏が、 「秘密保護法」有識者会議の座長になったことに対しても、日本の新聞業界からは疑問の声がまったくあがっていない。軽減税率の問題で、政府に対しては、頭があらがないのかも知れない。

なお、新聞関係者が関与していると思われるスパイ活動(フリーライターや主婦を使用)についても、最近、輪郭が浮上してきた。現在、調査中である。