深まる警察と新聞社のスクラム 読売に続き毎日も警察との連携
警察権力と新聞社がますます親密な関係になってきた。10月29日付け『毎日新聞』は、「<世界のお巡りさんコンサート>都内で懇親会」と題する記事を掲載した。
東京で開催中の「第17回世界のお巡りさんコンサート」(主管・毎日新聞社)に参加する各国の警察音楽隊が29日、都内のホテルで懇親会を開いた。警視庁、インドネシア国家警察士官学校、ソウル特別市地方警察庁、ニューヨーク市警察、ベトナム警察の5隊が出席した。
引用した記事でも明らかなように、毎日新聞社がこのイベントの主管を務めている。そのためなのか、31日にも「<世界のお巡りさんコンサート>5隊が演奏、フィナーレ」と題する記事を掲載した。
新聞ジャーナリズムが警察の宣伝に貢献している事実をどのように考えるべきなのだろうか。このような例は、一部の軍事政権の国は別として、「先進国」と言われている国では珍しい。住民の意識が高まるにつれて、ジャーナリズムの役割は、権力を監視するものだという概念が定着してくるからだ。
実は、警察権力と新聞社の共同歩調という珍現象は、日本では想像以上に進行している。報道面で警察に協力しているのは毎日だけではない。
もっとも典型的な例として、読売グループと警察権力の交流がある。たとえば読売新聞の東京本社内に本部を設置している読売防犯協力会の中心的なメンバーは警察OBである。読売に再就職して、活動している。
具体的なメンバー(警察関係)は次の通りである。
柏田榮文参与 :警視庁捜査第二課員、築地署生活安全課長などを歴任し、2008年4月から現職。
鍋倉光昭参与: 機動捜査隊・鑑識課・警視庁光が丘署刑事・組織犯罪対策課長などを歴任し、2011年4月1日から現職。
深川猛参与 :警視庁目黒署生活安全課長、少年育成課・少年センター所長などを歴任し、2012年4月から現職。
?橋稔:北海道警察機動隊長、岩内署長などを歴任し、2008年4月から現職。
池田純:大阪府警捜査第一課員・城東署生活安全課長などを歴任し、2012年4月から現職。
読売新聞販売店の協力を得て、街の隅々にまで監視の眼を光らせ、「犯罪」を防止しようという試みのようだ。 ちなみに読売新聞の元社長・正力松太郎氏は、戦前の特高警察の幹部である。読売の場合は、もともと警察との関係が極めて深いと言える。言論を取り締まることを主要な任務として、小林多喜二の殺害事件などを起した特高の関係者が、戦後になったからとはいえ、新聞社の社長になった事実は、日本の新聞ジャーナリズムの体質を考える上で大切だ。
なお、読売防犯協力会は、次に示す全国都道府県の警察本部と覚書を交わしている。日付は覚書の締結日。
高知県警 2005年11月2日
福井県警 2005年11月9日
香川県警 2005年12月9日
岡山県警 2005年12月14日
警視庁 2005年12月26日
鳥取県警 2005年12月28日
愛媛県警 2006年1月16日
徳島県警 2006年1月31日
群馬県警 2006年2月14日
島根県警 2006年2月21日
宮城県警 2006年2月27日
静岡県警 2006年3月3日
広島県警 2006年3月13日
兵庫県警 2006年3月15日
栃木県警 2006年3月23日
和歌山県警 2006年5月1日
滋賀県警 2006年6月7日
福岡県警 2006年6月7日
山口県警 2006年6月12日
長崎県警 2006年6月13日
茨城県警 2006年6月14日
宮崎県警 2006年6月19日
熊本県警 2006年6月29日
京都府警 2006年6月30日
鹿児島県警 2006年7月6日
千葉県警 2006年7月12日
山梨県警 2006年7月12日
大分県警 2006年7月18日
長野県警 2006年7月31日
福島県警 2006年8月1日
佐賀県警 2006年8月1日
大阪府警 2006年8月4日
青森県警 2006年8月11日
秋田県警 2006年8月31日
神奈川県警 2006年9月1日
埼玉県警 2006年9月14日
山形県警 2006年9月27日
富山県警 2006年9月29日
岩手県警 2006年10月2日
石川県警 2006年10月10日
三重県警 2006年10月10日
愛知県警 2006年10月16日
岐阜県警 2006年10月17日
奈良県警 2006年10月17日
北海道警 2006年10月19日
沖縄県警 2008年6月12日