1. 新聞業界から政界に927万円の政治献金、背景に新聞に対する軽減税率の問題、ジャーナリズムよりも特権の獲得を優先する日本の新聞人

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2015年11月30日 (月曜日)

新聞業界から政界に927万円の政治献金、背景に新聞に対する軽減税率の問題、ジャーナリズムよりも特権の獲得を優先する日本の新聞人

新聞の業界団体から自民党を中心に、政界に927万円の政治献金が支払われていたことが、先日に公開された政治資金収支報告書(2014年度分)で判明した。

政治献金を支出したのは、新聞販売店の業界団体・日販協(日本新聞販売協会)である。厳密に言えば、日販協の政治団体である日販協政治連盟から、献金が行われていた。

ちなみに日販協は、新聞に対する軽減税率の適用を勝ち取るために、日本新聞協会と共闘している。両者の親密度は、再販制度の問題が浮上した1990年代から濃密になっている。

■政治資金収支報告書PDF

◇献金額の詳細

まず、「セミナー参加費」として236万円が支出されている。支出先は、述べ17人の議員や政治団体。

このうち支出額が際立って高いのは次の2氏である。

漆原良夫議員(公明党):40万円

丹羽雄哉議員(自民党):60万円

丹羽議員は、元読売新聞の記者で、自民党新聞販売懇話会の会長である。自民党新聞販売懇話会は、新聞業界と政界のパイプ役を務める団体で、小渕恵三元総理が在職中に、会長を務めていたこともある。その小渕政権下の1999年には、新ガイドライン、住民基本台帳法、盗聴法、国旗・国歌法などとんでもない法律が矢継ぎ早に成立した。

一方、寄付金はなんと135名もの国会議員に贈られている。寄付額は、3件の例外を除いて、ひと口で5万円。赤坂界隈で遊興する「おこずかい」程度の額だが、金額を総計すると691万円にもなる。

◇メディア全体が安倍内閣の「広報部」

献金行為の背景にあるのは、新聞に対する軽減税率の適用問題である。政治献金を支出してまで、業界の特権を獲得しようとしている日本の新聞人の実態が数字で浮き彫りとなった。

この倫理問題に関しては、書籍・雑誌などの出版業界から批判の声があがる可能性もほとんどない。と、いうのも出版業界も新聞人たちの政治力を頼りに、書籍・雑誌の軽減税率の適用を受けようとしているからだ。

こうした状況の下でメディア全体が、安倍内閣の「広報部」として取り込まれてしまう危機が高まっている。責任は重い。