政党が新聞代金を事務所費として仕訳する謎、取引先の「丸の内新聞事業協同組合」は新聞各社の協同経営
11月に公開された民主党の政治資金収支報告書の「支出」の項目に新聞代金の記載がないので、党本部に問い合わせたところ、新聞代金を「事務所費」として仕訳していることが、分かった。
これについてまず総務省の政治資金課に問い合わせたところ、政党の政治資金収支報告書には、新聞代金を「備品・消耗品費」か「事務所費」として処理することが認められているとの説明があった。つまり公表の必要がないとのことである。
実際、民主党の会計担当者によると、新聞代金は、「事務所費」に含まれているとのことだった。その事務所費は、約4億98万円(2011年度)である。
考えてみれば、これは不思議な制度である。なぜ、このようなシステムになっているのかは不明だが、新聞業界と政界の不透明な関係の温床になる危険性がある。
一般的にはほとんど知られていないが、実は丸の内界隈にある官庁や政党本部に新聞を配達しているのは、通常の販売店ではない。新聞社が共同で運営している丸の内新聞販事業協同組合という会社である。現在の代表理事は、元毎日新聞販売局長の古池國雄氏である。
通常、新聞は各新聞社の専売店から個別に配達される。ところが丸の内新聞事業協同組合だけは例外で、全紙を一括して官庁や政党事務所へ届ける。
いわば政界の中枢と新聞業界のパイプが構築されているのだ。それにもかかわらず、政党の政治資金収支報告書では、新聞代金を「事務所費」としてあいまいに処理することが認められているのだ。
これでは新聞各社に対する口止め料として、政党本部が新聞の購読部数を増やすなどの策略を採用して、情報を操作する危険性をまぬがれない。