最高裁に対して情報公開請求、最高裁判事らが読売裁判を検証したことを示す証拠を開示せよ
最高裁判所に対してわたしは、9日、次の内容の情報公開を請求する。
平成25年(受)第1261号事件を担当した裁判官・小貫芳信、裁判官・千葉勝美、裁判官・鬼丸かおる、裁判官・山本庸幸、さらに担当調査官(氏名は不明)が、本件の内容について検討したことを示す全文書。
平成25年(受)第1261号事件とは、わたしが2009年に読売新聞社に対して5500万円の損害賠償を求めた裁判である。そもそもの発端は、読売が2007年の暮れから、わたしに対して次々と裁判による攻撃を仕掛けてきたことである。読売がわたしを被告として起した裁判は次の通りである。
1、仮処分申立(著作権) 2007年12月
2、著作権裁判 2008年2月
3、名誉毀損裁判1 2008年3月
4、名誉毀損裁判2 2009年7月(被告・黒薮、新潮社)
読売が支払いを求めた金額は、約8000万円。これらの裁判を担当したのは、自由人権協会代表理事の喜田村洋一弁護士や同協会事務局長の藤原家康弁護士、それに元最高裁判事が再就職(広義の天下り)しているTMI総合法律事務所の升本喜郎弁護士らだった。
◇黒薮優位から読売優位へ
「1」から「4」の裁判の結果は次の通りである。
1、仮処分申立(著作権):黒薮敗訴。
2、著作権裁判:地裁から最高裁まで黒薮勝訴。
3、名誉毀損裁判1:地裁と高裁は黒薮勝訴。最高裁で読売が逆転勝訴。
4、名誉毀損裁判2:地裁から高裁まで読売が勝訴。
わたしはこれらの訴訟が「一連一体」の言論弾圧にあたるとして、江上武幸弁護士ら弁護団の全面支援を受けて、福岡地裁へ読売を提訴したのである。
このうち「2」については、裁判の途中でとんでもない事実が発覚した。喜田村弁護士らが、訴訟の根拠とした「著作物」の名義人を読売の江崎法務室長に偽り(判決では、実際は、喜田村弁護士か彼のスタッフが作成したとされた)、それを根拠にして、著作者人格権を主張していたことが分かったのだ。前代未聞のでっちあげ事件である。当然、門前払いのかたちで敗訴した。
この件については、現在、日弁連に対して喜田村弁護士の懲戒請求を申し立てている。
■参考:袴田事件と類似した事件の構図、喜田村弁護士に対する懲戒請求、準備書面(1)を公開
◇年間4500件の上告事件
さて、わたしが読売に対して起した損害賠償裁判は、地裁から最高裁までわたしの敗訴だった。[2]で認定された喜田村弁護士らの名義人偽りの件も、最高裁は不問に付したのである。
最高裁に上告した後、わたしは広義の上告事件の扱い状況について調べてみた。その結果、次のようなことが分かった。
まず、上告件数。「上告事件」とは、憲法違反を根拠とした申し立てである。「上告受理事件」とは、判例違反を根拠とした申し立てである。
《2010年》
上告事件 :2036件
上告受理事件:2485件
合計 :4521件
◇人員体制は、たったの50名
意外に知られていないが、最高裁事務総局には、調査官と呼ばれる裁判官がいる。次に示すのが、調査官のリストである。人員数は37人。これに最高裁判事14名が加わって、事件を処理する。
つまり裁判関連の資料を精査するのは、51人である。事件の件数は、年ごとに変動があるが、かりに4500件とすれば、ひとりの裁判官が1年に担当する件数は、単純に計算して82件である。
上告審は複雑な事件が多いことを考えると、こんな疑問が出てくる。
「最高裁は、本当に事件を精査しているのか?」
◇村上正敏裁判長の判決
そこでわたしは、自分が関わってきた事件が最高裁でどのように検証されたのかを知りたいと思い、情報公開へ踏み切ったのである。
なお、訴因となった「1」から「4」の裁判のうち、「4」名誉毀損裁判は、読売の「押し紙」の有無をめぐる裁判だった。東京地裁の村上正敏裁判長は、被告側が証拠として提出した魚住昭氏の『メディアと権力』、河内孝氏の『新聞社』を指して、裏付けがないと認定している。現場の取材もせずに、よくこれだけ大胆なことが言えるものだと、驚いている。
本当に裏付けがないのか、これから再検証していきたい。