最高裁が(株)NTTデータに、裁判員候補者名簿管理システムの開発と保守名目で2億4300万円を支出 相場は700万円?
筆者が裁判員制度に関する支出について調べたところ、2009年1月、最高裁が裁判員候補者名簿管理システムの開発・保守費として、(株)NTTデータに対し、総計で約2億4300万円の大金を支払った疑惑があることが分かった。支出の詳細は次の通りである。
■裁判員候補者名簿管理システムの開発:190,995,000円
■裁判員候補者名簿管理システム開発のアプリケーション保守:51,975,000円??
「疑惑」と書いたのは、上記の数字を裏付ける資料が(株)NTTデータが最高裁に送った請求書であるからだ。請求書であるから、額面どおりに支出した絶対的な確証はないが、通常、公的機関に対する請求書は、事前合意の上で送付されるので、実際に最高裁が約2億4300万円を支出した可能性は極めて高い。
この約2億4300万円という数字をどう評価すべきだろうか。
比較対象として、森ゆうこ元参議院が作成した「検察審査会調査報告書」と題する資料を紹介しよう。作成日は、2011年6月30日。この資料に検察審査会のくじびきソフトを開発・保守するための費用として、最高裁(注:検察審査会は最高裁が管轄している)が支払った次の額が表示されている。
■検察審査員候補者名簿管理システム開発及び開発監理支援費用:52,815,000円
約5200万円である。この価格の評価について森氏は『検察の罠』の中で次のように述べている。
複数のシステム設計の専門家によれば、このシステムなら500万円から作ることが可能で、通常は700万円程度、どんなにボッタクリでも1000万円だという。
裁判員候補者名簿管理システムと検察審査員候補者名簿管理システムにそれほど大きな違いがあるとは思えない。かりにこの種の候補者管理システムの開発・保守費が、本当に700万円程度であるとすれば、最高裁がNTTデータに支払った約2億4000万円の内訳を詳細に検証する必要がある。
◇イカサマの候補者名簿管理システム
ちなみに森氏の「検察審査会調査報告書」や『検察の罠』によると、検察審査会の候補者名簿管理システムには、大きな問題がある。
まず、PCのくじびきソフトの画面から、最高裁が不適切と判断した候補者を抽選前の段階で削除できる。さらにこのような不正操作をしても、操作の「足跡」が残らない。つまり最高裁が恣意的に裁判員を選べるようになっているのだ。
今後、次の点を検証する必要がある。
裁判員候補者名簿管理システムも、検察審査員候補者名簿管理システムと同じ仕組みかどうか。違いがあるとすれば、どの部分なのか。
最高裁がNTTデータに支出したと思われる約2億4300万円というソフト開発の価格をどう評価するのか。
【裏付け資料】