最高裁の上告審における朝日、読売、日経の勝敗は「88勝4敗」、逆転勝訴は黒薮裁判の1件、情報開示まで8ヶ月の延滞
1997年から2013年までの間に、最高裁に上告された裁判のうち、朝日新聞社、読売新聞社、それに日経新聞社が上告人か被上告人になったケースの勝敗を調べた。裏付け資料として採用したのは、情報公開請求によって最高裁から入手した次の資料である。
結論を先に言えば、法廷闘争では、大新聞社が圧倒的に強いことが分かった。
【概要】
◎上告、または上告受理申立の裁判件数:110件
※上告とは、憲法解釈を理由として、最高裁に訴えた裁判。
※上告受理申立とは、判例解釈を理由として、最高裁に訴えた裁判。
◎上記のうち、上告人も被上告人も非開示(黒塗りの処理)の裁判件数:18件
◎新聞社が敗訴したケース:4件 (18件については上告人と被上告人が■■処理されているので、全体数92件のうち、新聞社の敗訴は4件ということになる。)
◎最高裁が新聞社を逆転勝訴させたケース:1件(全体数は110件・上記の最高裁資料に赤マークで表示)
◇新聞社敗訴のケース
最高裁で新聞社が敗訴したケースは次の4件である。
日本経済新聞(H9年)、読売新聞西部本社(H19年)、読売新聞(H20年)、読売新聞(H24年)
このうち読売のH19年のケースは、第1次真村裁判である。これは読売とYC(読売販売店)の間で起きた裁判で、読売の「押し紙」(新聞の偽装部数)が認定された画期的な裁判である。最高裁が読売の上告受理申立を不受理にしたことで、福岡高裁の判決が確定した。次の判決である。
◇最高裁で新聞社が逆転勝訴したケース
最高裁が新聞社をどたんばで逆転勝訴させたケースとしては、■■新聞社(H22年)の裁判がある。この裁判が唯一のケースである。
■■と記したのは、上告人も被上告人も■■処理になっているからだ。
が、この裁判の上告人は、事件年度と「最終区分」から判断して、読売新聞西部本社と3人の読売社員である可能性が極めて強い。また、被上告人はわたし(黒薮)である。
この裁判は読売と3人の社員が、新聞販売黒書(現MEDIA KOKUSYO)の記事で名誉を毀損されたとして、2230万円のお金を支払うように要求して裁判を起こしたものである。
読売側の代理人は当初、人権擁護団体・自由人権協会代表理事の喜田村洋一弁護士だった。高裁からTMI総合法律事務所の弁護団に変更なった。TMI総合法律事務所への元最高裁判事3名が退官後、再就職していた。
?? TMI総合法律事務所の顧問弁護士リスト=ここをクリック
地裁と高裁は、わたしの勝訴。しかし、最高裁は高裁判決を差し戻した。
これを受けて東京高裁の加藤新太郎裁判長が金銭110万円と利息を支払うように命じる判決を下した。
上告人(読売+3名)と被上告人(黒薮)の名前を■■処理した理由を、最高裁に尋ねてみた。結論を先に言えば、「+3名」の部分が個人情報なので、全体を■■処理したとのことだった。
しかし、「+3名」の部分だけを黒塗りにすれば、それですむことではないだろうか。事件番号も■■処理しているわけだから、裁判自体を特定しようがない。
◇情報開示の申し立てから開示までが8ヶ月 ?
わたしが朝日、読売、日経の3社がかかわった上告審に関する資料の情報公開を請求したのは、昨年の5月24日である。開示されたのが今年の1月28日であるから、実に8ヶ月を要したことになる。
民間企業であれば、2日で十分に出来る作業である。8ヶ月もかかった理由を尋ねてみると、情報を不開示にする部分を決めるなどの手続き、つまり開示方法を検討する必要があったからだという。
そこでわたしは、開示方法を検討したことを示す資料を保存しているか否かを尋ねた。その答えは、保存していなというものだった。口頭で決めたとも話していた。
ちなみに最高裁からの開示通知には、責任者の名前が記されていなかった。(下記資料を参照)電話で責任者の名前を尋ねたところ、「秘書課長・掘田眞哉」とのことだった。
写真:読売新聞(電子版)に登場していた東京高裁の加藤新太郎裁判官