2015年06月03日 (水曜日)
大阪府高槻市の住民グループがKDDIに公開討論を提案、携帯基地局の設置をめぐるトラブル
KDDIに対して携帯基地局の撤去を求めている大阪府高槻市の住民団体「携帯基地局設置に不安を持つ大和住民のグループ」が、KDDIに対して公開討論を求めていることが分かった。公開討論は、電磁波研究の第一人者・荻野晃也博士とKDDI側代表による直接討論という形を取る。
住民側の代表によると住民グループは、すでにKDDIに公開討論を申し入れており、現在、回答を待っている段階だという。
◆電磁波利用と巨大ビジネス
電磁波による人体影響は一部の専門家により古くから指摘されてきたが、それが深刻な社会問題として浮上してきたのは、1980年代に入ってからである。配電線の低周波電磁波と小児白血病に因果関係があることが、数々の疫学調査により明らかになったのだ。日本でも疫学調査が実施され、海外の調査と同じ傾向を示した。
1990年代になって携帯電話の普及に拍車がかかると、携帯電話の通信に利用するマイクロ波による人体影響が指摘されるようになった。特に問題になっているのは、マイクロ波の遺伝子毒性である。遺伝子を破損して、癌を発症させるリスクである。
エックス線やガンマ線(原発)などエネルギーが高い領域の電磁波に遺伝子毒性があることは、従来から科学の常識となっていたが、マイクロ波にも同じ作用があることが分かってきたのだ。
実際、WHOの外郭団体・国際癌研究機関は、2011年5月にマイクロ波に発癌性の可能性があることを認定した。電磁波はエネルギーの強弱にかかわらず、人体に影響を及ぼすと考えるのが、常識になりつつある。
しかし、電磁波利用がTI関連の巨大ビジネスと結びついている事情があるために、広告やCMを主要な収入源としているマスコミは、電磁波問題の報道には消極的だ。その一方で電磁波問題と「白装束集団」を結びつけて報じるネガティブ・キャンペーンを展開したこともある。
携帯電話の基地局問題の特徴は、基地局を設置されると、その周辺に住む人々が1日24時間、365日に渡って被曝することである。「受動喫煙」と同じ原理で、被害を広げる構図がある。
携帯電話、スマホ、無線PCを使うか否かは、個々人の選択にかかっているが、基地局の設置は、電話会社の都合で決められる。国は法的な規制をしていない。野党議員も、電磁波問題を取り上げるとスマホが日常生活の一部になっている有権者、特に若い人から嫌われるので、取り上げない。
21世紀の新世代公害は、水面下で被害を拡大している。