2015年05月27日 (水曜日)
大阪府高槻市でも基地局設置をめぐる対立、「携帯基地局設置に不安を持つ大和住民のグループ」がKDDIに撤去を求める
携帯電話の基地局設置をめぐる電話会社と住民とのトラブルが多発している。
世田谷区奥沢のケースはSFNで既報したが、大阪府高槻市でも類似したトラブルが起きていることが分かった。発端は、2014年6月にKDDIと協和エクシスが、高槻市大和で「KDDI携帯電話用無線設備設置のお知らせ」と題するチラシを配布し、その後、基地局を設置したことである。
幸いに、現在のところ稼働はされていない。
住民たちは、「携帯基地局設置に不安を持つ大和住民のグループ」を結成。KDDI側に対して、基地局の撤去を求め続けている。(詳細は後日)
KDDIと住民の間で過去に起きた携帯基地局設置をめぐるトラブルとしては、宮崎県延岡市のケースが有名だ。2006年に、KDDIが同市大貫5丁目にある3階建てアパートの屋上に基地局を設置したところ、周辺住民の間で「耳鳴り」や「頭鳴り」などの症状が広がった。さらに鼻血などの症状をもよおす住民も現れた。
健康被害はその後も広がり、2009年の末に大貫5丁目の住民30人がKDDIに対して基地局の操業停止を求める集団訴訟を起こした。弁護団は九州で水俣病などの公害事件に取り組んできた26名の辣腕弁護士で結成されたが、地裁、高裁では訴えが棄却された。現在、この裁判は最高裁に属している。
◆将来莫大な賠償金?
電磁波が人体に及ぼす影響は、かつてはマイクロ波などエネルギーが低い領域のものは比較的安全で、エックス線やガンマ線などエネルギーが高い領域のものは危険と考えられていたが、現在は、すべての電磁波が人体に影響を及ぼすという考えが主流になり始めている。
このために欧米では、たとえ国が緩やかな電波の規制値を設置していても、
コミュニティーが独自に低い提言値などを設けているケースがある。
たとえば、EUの数値は、0.1μW/m2(屋内は0.01μW/m2)である。オーストリアのザルツブルグ市は、0.0001μW/m2。
これに対して日本の総務省が設置している基準値は、1000μW/m2である。ザルツブルグ市に比べて10万倍も緩い規制値になっている。
当然、マイクロ波による健康被害が広がった場合、将来、国と電話会社が、莫大な賠償金を請求されるリスクがある。
ちなみにWHOの外郭団体である国際癌研究機関は、2011年にマイクロ波に発ガン性がある可能性を認定している。