1. 増える携帯電話の基地局問題、追及は自粛傾向に、自宅から数メートルの所にアンテナを設置され癌になったケースも

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2015年05月08日 (金曜日)

増える携帯電話の基地局問題、追及は自粛傾向に、自宅から数メートルの所にアンテナを設置され癌になったケースも

 携帯電話の基地局設置をめぐるトラブルが多発している。今年の2月から現在までの約3ヶ月の間に、わたしが把握した新ケースは3件になる。いずれもMedia Kokusyoへの情報提供により実態を掴んだ。

このうち東京都世田谷区奥沢のケースについては、既報した通りである。NTTドコモがマンションの屋上に基地局を設置しようとして、住民との間にトラブルが発生した。

同社は、2013年にも、奥沢からほど近い目黒区八雲で、住民の反対により基地局設置を断念している。NTTドコモが設置を計画していた場所は、老人ホームの屋上だった。

大阪市の男性からも、基地局をめぐる情報提供があった。現地へ足を運んで現場を確認していないので、電話会社の社名は明かさないが、住居からほんの数メートルの地点に基地局(冒頭写真参考)があり、家族が癌になったという内容の通報だった。

さらに大阪府の高槻市からも、基地局を設置されてトラブルになっているという通報があった。

◆共産党も追及できない電磁波問題

携帯基地局の問題は、報道が抑制される傾向がある。また、国会の場でも徹底追及が進まない。こうした状況を招いている主要な要因は少なくとも3点ある。

まず、第1は基地局の設置が、ユビキタス社会の完成をめざす政府の国策になっている事情である。携帯電話の基地局を張り巡らせない限り、「いつでも、どこでも、誰でも」がインターネットを通じてつながる社会の実現は出来ない。それゆえに基地局を増やすことが、ユビキタス社会のインフラ整備ということになる。

そこに企業の利権が複雑にからんでいることは疑いない。IT産業が巨大ビジネスとして成立するから、巨額の政治献金の見返りとして、ユビキタス社会を目指す国策が打ち出されているのだ。

改めて言うまでもなく、国策に反対する闘いは、極めて高いリスクを背負う。正義を実現する最後の砦である司法やジャーナリズムが健全であればまだしも、裁判官もメディアも国策に対しては、「NO」を表明しにくい。

事実、この問題はほとんど報じられないし、これまで提起された基地局撤去を求める裁判では、ことごとく電話会社が勝訴している。

ただし、例外として、『週刊東洋経済』のように、企業名を公表して、報じているメディアもある。

さらに第3の原因として、電磁波問題に言及すると嫌われるという事情がある。携帯電話の普及率が100%を超え、だれでも、どこでも、当たり前に携帯電話やスマフォを使う風潮が生まれてくると、それに対して異論を唱えると、敵視される傾向がある。不愉快に感じるらしい。「空気を読めない人」ということになる。

特にスマフォのヘビーユーザー間でこのような傾向が強いようだ。

かつて共産党の紙智子議員は、国会で電磁波問題を取り上げていた。ところがいまは沈黙してしまった。おなじく共産党の吉良よし子議員は、僻地に携帯基地局を設置するために補助金を支給するように国会で求めている。むしろ国策を後押ししている。

(その一方で、原発には反対している。実は原発のガンマ線も電磁波の一種なのだが・・)

吉良氏には青年層の支持を取り込みたいという意図があるのではなだろうか?新世代公害である電磁波や基地局設置を、人類に禍根を残しかねない重大問題として認識しないのは、共産党議員のイメージから著しくかけ離れている。

◆知らないうちに進む洗脳

NHKは、番組の中に携帯電話やスマフォの使用を組み込んでいる。これらのツールにより放送の双方向化をはかろうという意図であるが、そこには、公害としての電磁波という問題意識が完全に欠落している。

こうした番組に日常的に接していると、電磁波問題に言及する者は、「頭がおかしい」という世論が形成されかねない。視聴者は気づいていないが、これが洗脳の典型的なプロセスにほかならない。