1. 長野県飯田市の基地局問題 NTTドコモが雪の中で工事を続行 母親たち「設置に合意していない」

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2014年02月17日 (月曜日)

長野県飯田市の基地局問題 NTTドコモが雪の中で工事を続行 母親たち「設置に合意していない」

本稿は、長野県飯田市の正永町でNTTドコモが携帯電話の基地局の設置工事を進めていることに対して、住民が反発している件の続報である。現地の住民を電話取材したところ、基地局の設置工事は、雪の中でその後も進行しているとの説明があった。

? ■参考記事:「長野県飯田市でNTTドコモの基地局問題が発生、住民側「設置に合意していない」

NTTドコモが住民の合意を得たという前提に立って基地局設置の工事を進めている。しかし、反対運動を進めているお母さんたちは、合意していないと話している。

同社は長野県で高速通信LTE基地を10倍に増やす計画を展開している。

このケースでは、行政機関や市議の動きが、他の地区(たとえば、超党派の議員が住民の立場に立って問題を解決した東京目黒区など)に比べて鈍いことである。「NTTドコモは法的な違反をしていないので、基地局の設置を止めることはできない」という論理が支配的で、住民サイドに立った支援が出来ていないのが実態だ。

しかし、法律を根拠としたこの種の論理には、決定的な間違いがある。基地局から発せられるマイクロ波の危険性は、海外ではあたりまえに論じられ、行政機関がさまざまな規制を課している。それに行政機関が、企業の利益よりも、地元住民の利益を優先しなければならないのは、当たり前のことである。

基地局設置が合法的であるから、何もできないというのであれば、国会で、自民党(山谷議員)や共産党(紙議員)などが、基地局問題を取り上げた意味がない。

◇わたしが電磁波の影響を理解した瞬間  

マイクロ波を含む電磁波の危険性は、実感として認識するのがなかなか難しい。電波が肉眼で確認できないからだ。

わたし自身、電磁波による健康被害を訴えている人々の取材を始めたころは、取材相手から「携帯電話の電源を切ってください」と注意されるまでは、「OFF」にしなかった。通話をしていない時に携帯電話が発する微弱な電磁波で、相手が体調不良を訴えることはありえないと思っていたのだ。

が、わたしはこうした思い込みが完全な誤りであることに、その後、気づいた。ほんの少しの電磁波であっても、異常に身体が反応する人がいるのだ。

この事実を身をもって知ったのは、2010年9月に、電磁波問題の専門家、マーチン・トンデル博士がスウェーデンから来日して、大阪市で開いた講演会に参加したときだった。トンデル博士の話に感銘をうけ、電波が人体に及ぼす影響を学問的に実感したわけではなかった。講演を聞きに来ていたひとりの婦人が取ったある行動を見て、電磁波による人体影響とは何かを即座に理解したのである。

この婦人はわたしのすぐ前の席に座っていた。婦人の大きな背中で前方の光景が遮られていた。そこでわたしは婦人の肩ごしから、正面の舞台をうかがっていた。

トンデル博士の講演が始まると、わたしは膝の上に準備していたレコーダーのスイッチを「ON」にした。デジタル式のレコーダーであるから、スイッチを入れる時に音が発生するはずがなかった。ところが、わたしが自分の人差し指をスイッチから離した瞬間、婦人が身を後方に捻り、わたしを恐ろしい形相で睨みつけて、

「レコーダーを切ってくれますか?」

と、言ったのだ。わたしがあっけに取られていると、

「電磁波過敏症なんです」

と、続けた。この時、わたしは微弱な電磁波であっても、身体が敏感に反応するひとが実際にいることを知ったのである。それまでは心のどこかで、電磁波過敏症の人は、ノイローゼーの傾向もあるのではないかという考えを捨て切れなかったのである。

◇ドイツの疫学調査

ドイツの医師たちが、1993年から2004年まで、特定の団体から資金提供を受けずにナイラ市で行った疫学調査がある。基地局は最初に93年に設置され、その後、97年に別の電話会社の局が加わった。調査対象は、調査期間中に住所を変更しなかった約1000人の通院患者である。

これらの患者を基地局から400メートル以内のグループ(仮にA地区)と、400メートルより外(仮にB地区)に分けて比較した。

最初の5年間については、癌の発症率に大きな違いがなかったが、99年から04年の5年間でA地区の住民の発癌率が、B地区に比べて3.38倍になった。しかも、発癌年齢も低くなった。たとえば乳癌の平均発症年齢は、A地区が50.8歳で、B地区は69.9歳だった。約20歳早い。ちなみにドイツにおける乳癌の平均発症年齢は63歳である。

出典:The Influence of Being Physically Near to a Cell Phone Transmission Mast on the Incidence of Cancer

◇その他の海外情報

フランス、携帯電話等の電磁波への曝露抑制や情報透明性等に関する法案を推進

ドイツ、電磁波による健康影響防止のため規則改定へ  

携帯電話の電磁波はエレベーターなど密室空間では7倍に、韓国が研究結果を公表

◇NTTドコモは株主向けに、電磁波のリスクを明記

NTTドコモも株主向けの情報で、マイクロ波のリスクを指摘している。顧客よりも、株主の方が大事らしい。

(12)無線通信による健康への悪影響に対する懸念が広まることがあり得ること????

世界保健機関(WHO)やその他の組織団体等、及び各種メディアの報告書によると、無線通信端末とその他の無線機器が発する電波は、補聴器やペースメーカーなどを含む、医用電気機器の使用に障害を引き起こすこと、ガンや視覚障害を引き起こし、携帯電話の使用者と周囲の人間に健康上悪影響を与える可能性を完全に拭い切れないとの意見が出ております。

無線電気通信機器が使用者にもたらす、もしくはもたらすと考えられる健康上のリスクは、既存契約者の解約数の増加や新規契約者の獲得数の減少、利用量の減少、新たな規制や制限並びに訴訟などを通して、当社グループの企業イメージ及び当社グループの財政状態や経営成績に悪影響を与える可能性もあります。

また、いくつかの移動通信事業者や端末メーカーが、電波により起こり得る健康上のリスクについての警告を無線通信端末のラベル上に表示していることで、無線機器に対する不安感は高められているかもしれません。

研究や調査が進むなか、当社グループは積極的に無線通信の安全性を確認しようと努めておりますが、更なる調査や研究が、電波と健康問題に関連性がないことを示す保証はありません。

さらに、当社グループの携帯電話と基地局から発する電波は、電波のSAR(Specific Absorption Rate:比吸収率)に関するガイドラインなどの、日本の電波に関する安全基準と、国際的な安全基準とされている国際非電離放射線防護委員会のガイドラインに従っております。

一方、日本の電波環境協議会は、携帯電話や他の携帯無線機器からの電波が一部の医用電気機器に影響を及ぼすということを確認いたしました。

その結果、日本は医療機関での携帯電話の使用を制約する方針を採用いたしました。当社グループは携帯電話を使用する際に、これらの制約を利用者が十分認識するよう取り組んでおりますが、規制内容の変更や新たな規則や制限によって、市場や契約数の拡大が制約されるなどの悪影響を受けるかもしれません