1. 「携帯基地局は稼働していません」と住民に説明、実は電波は発信されていた 加害企業を特定中 海老名市の基地局問題

携帯電話の基地局問題に関連する記事

2013年10月16日 (水曜日)

「携帯基地局は稼働していません」と住民に説明、実は電波は発信されていた 加害企業を特定中 海老名市の基地局問題

先週、海老名市の携帯基地局問題を取材した。取材に応じてくれたのは、「携帯基地局による健康被害を考える会」のメンバー4人だった。電磁波による被害に苦しむAさん(女性)から、被害の実態を聞いた。

Aさんは退職後、自宅の玄関から4メートルのところにある電柱の上に設置されたU字型の携帯アンテナから放出されるマイクロ波を、ジャワーのように、浴び続けてきた。玄関さきの庭に立つと、ほぼ真上からマイクロ波を放射されるかたちになる。そこで延々と趣味のガーディ二ングをする日々を送っていたのだ。

しかし、驚くべきことに基地局は稼働していないと説明を受けていた。そのために自宅直近の基地局から放射される電磁波に対する対策は取れず、体調不良を重症化させてしまったのである。

この電話会社の名前は、現在、調査中である。わたし個人としては、刑事告訴してもいいのではないかと考えている。

Aさんの日誌によると、体に異変が起こったのは、2011年5月27日だった。

趣味のガーディニングをしいる時に、右耳に「ぶあん?ぶあん?」という奇妙な感覚を覚えた。最初の頭鳴だった。しかし、電磁波による影響を疑うことはなかった。

この日を皮切りに、Aさんはたびたび同じ感覚に見舞われるようになった。

6月29日の夜、NHK番組・「歴史秘話ヒストリア金閣寺と銀閣寺」を見ているとき、「じーん」というセミの鳴き声が伝わってきた。最初は、番組の音響演出だと思ったという。ところが番組が終わっても、セミの鳴き声はやまない。

7月1日には、「じーん」という音や「ぶあんー」という音響だけではなくて、目覚まし時計の音も聞こえた。

体の異変を察したAさんは海老名市の病院を受診した。しかし、医者に電磁波過敏症の知識はなく、ビタミンB2を飲むようにアドバイスした。

医師の指示に従ったがまったく効果はなかった。

次にインターネットで探した横浜市の病院へ足を運んだ。しかし、やはり診断はつかず、医者は、

「気長になおしなさい。なれるより仕方がない」

と、アドバイスしただけだった。

その後、Aさんは精神錯乱を体験することもあったという。

◇原発の被害と電磁波の被害は類似している

ちなみに電磁波による健康被害は、頭鳴や耳鳴りを皮切りに、さまざまなものが報告されている。精神錯乱については、これまでの取材の中で、3件の顕著なケースを確認している。従って決して、Aさんの場合も、思い込みではない。客観的に神経が障害を受けていた可能性が高い。

たとえば兵庫県の川西市の基地局問題を取材した時、ある主婦から、基地局が稼働し始めた後、中学生だった娘さんの情緒がおかしくなったという証言を得たことがある。拙著『あぶない!あなたのそばの携帯基地局』(花伝社)から、彼女の証言を引用しておこう。

最初、わたしは思春期か受験が原因に違いないと思いました。しかし、口論の末に泣きじゃくるなど、明らかに正常の域を超えていました。どこか異様なものを感じましたね。幸いに、娘は高校には合格しましたが、体調不良で起きられなくなりました。遅刻と欠席が重なって、進級が危うくなったほどです。

ちなみに原発の放射線による影響と、広義の電磁波(マイクロ波)の影響が類似していることを懸念する声も広がっている。次に示すのは、『チェルノブイリ被害の全貌』(アレクセイ・V・ヤブロコフ他 岩波書店)に収録されている「チェルノブイリ大惨事後に見られたがん以外の各種疾患」と題する論文である。がん以外の被害の実態を次のように要約している。

 ???(略)脳の損傷がリクビダートル(事故処理作業員)や汚染地域の住民とその子どもたちなど、放射線に直接さらされた人びとに見られた。若年性白内障、歯と口の異常、血液、リンパ、心臓、肺、消化器、泌尿器、骨および皮膚の疾患によって、人々は老若を問わず苦しめられ、健康を損なわれている。内分泌系の機能障害、とりわけ甲状腺疾患の広がりは予想をはるかに超え、甲状腺がんが1例あれば甲状腺の機能障害は約1000例あるというほど、大惨事後に著しく増加している。

遺伝的損傷と先天性異常が、特にリクビダートルの子どもや、放射性同位体によって高濃度に汚染された地域で生まれた子どもに認められる。免疫異常と、ウィルス、細菌、および寄生虫による疾患が、重度汚染地域に蔓延している。チェルノブイリ事故によって放出された放射線に被曝した人びとの総罹患率は、20年以上にわたり依然として高い。???

 これの症状の幾つかは、電磁波の影響によって生じた健康被害と共通している。

?◇ ウソが当たり前に、基地局は稼働していた

Aさんは体不調の原因を探りながら、試行錯誤する日々を送ってきた。ある時、Aさんは自宅のすぐそばにある電柱にさまざまな機械類が設置してあるのに注意した。以前から、円筒形の巨大なトランスや角形の機械など多種多様な装置が取り付けてあったが、これまでは特に注意を払うこともなかった。電柱の上には、フォーク型のアンテナも立っていた。

よくにた形状のアンテナは、自宅から100メートルの地点にもあった。「携帯基地局による健康被害を考える会」が撤去を求めているアンテナである。

Aさんはこの住民グループが配布したチラシを思い出した。幸いにそのチラシを保管していたので、取り出して読み返してみた。チラシには、自分が体験しているのと同じ症状が紹介されていた。

その後、Aさんも住民運動に参加するようになる。しかし、自分の体調不良は、100メートル先の基地局と、電柱のトランス、送電線が原因であると考え、直近の基地局には注意を払わなかつた。稼働していないと知らされていたからだ。

問題になった電柱については、住民グループからの要請を受けて、機械類を設置した会社が個別に説明に訪れたという。

繰り返しになるが、電柱の頂上に設置されたフォーク型のアンテナについては、ケーブルが切断させて稼働していないという説明を受けたという。

実際、ケーブルが切断されている状況を、住民グループが目撃している。(現在、住民グループが携帯電話会社を公式に特定する作業中)

ところがAさんから話を聞いたあと、わたしが現場を視察したころ、驚くべき事実が明らかになった。実際には、ケーブルが繋がっていたのだ。

「確かに切断されていました」

「みんなでそれを確認しました」

住民たちも驚き、怒りを現わにした。  つまりだれかが住民に知らせないままケーブルをつないで、基地局を稼働させていたのだ。Aさんは、それを知らされないまま、電柱の真下でガーディニングをするたびに、延々とマイクロ波を浴び続けていたのである。

もちろん自宅にもマイクロ波が入り込み、四六時中、被曝していた可能性が高い。

なお、この地区では、問題になっている持ち主不明の基地局近辺を中心に複数の住民が健康被害を訴えている。シールドで電磁波対策を取っている人もいる。

U型アンテナの下では、たとえば福島県木曽町で、奇形植物が群生した事実がある。また、長野県坂城町では、同じくU字型の半径100メートル以内で、癌が3件、白血病1件、精神錯乱、脳卒中などを確認している。

このアンテナは従来は、PHSのもので、電波も微弱と聞いていた。が、被害が出ていることは、事実である。ジャーナリズムでは、事実が理論に優先する。今後、原因を調査する必要がある。

◇空前の内部留保・4兆7250億円  

このところ電力会社と電話会社は、空前の利益を出している。NTTドコモの内部留保は、日本で3位。4兆7250億円に達している。

ちなみに2011年3月期の内部留保ランキングは、

1/トヨタ自動車/13兆8630億円

2/本田技研工業/7兆7826億円

3/NTTドコモ/4兆7250億円

4/キヤノン/4兆3141億円

5/パナソニック/4兆1662億円

6/日産自動車/4兆24億円

7/三菱商事/3兆4946億円

8/東京電力/3兆2652億円

9/ソニー/3兆876億円

10/関西電力/2兆4595億円

それにしても海老名市で、どの電話会社がこのような策略をめぐらしたのだろう。総務省に対して、情報公開の請求すべきだろう。人命にかかわる情報は、国のセキュウリーよりも優勢されなければならない。公開を拒否した場合は、それ自体を問題視して、情報を拡散すべきだろう。