1. 老人ホーム「グランダ八雲」の基地局問題 施設を運営するベネッセは設置に反対

携帯電話の基地局問題に関連する記事

2013年08月15日 (木曜日)

老人ホーム「グランダ八雲」の基地局問題 施設を運営するベネッセは設置に反対

なぜ携帯基地局の設置場所として、老人ホームの屋上が候補地になるのだろうか。推測になるが、それは高齢者の多くに電磁波と健康被害についての知識がないことが多いからだ。また、反対運動を組織する体力に欠ける人が大半であるからだ。つまり弱者が狙われているのだ。

神戸市、世田谷区、そして本サイトで報じている目黒区で同じような問題が発生している。

携帯基地局からは、マイクロ波と呼ばれる電磁波(電波)が放出される。マイクロ波は、原発のガンマ線や医療現場のエックス線と同様に放射線の仲間である。出力が同じであれば、周波数が高いほど、破壊力がある。ガンマ線が恐れられ、エックス線に注意が促されるゆえんにほかならない。

が、マイクロ波については、その危険性が認識されていない。確かに、ガンマ線やエックス線のように強い遺伝子毒性はないが、これを延々と浴び続ければ、人的影響は避けられないのではという懸念が広がっている。ドイツなど海外の疫学調査では、基地局周辺で癌の発症率が高いという結果が確認されている。

1ヶ月や2ヶ月で影響が現れなくても、5年、10年とマイクロ波に被爆した場合は話が違う。体に影響が現れても不思議はない。

言うまでもなく、老人ホームでは高齢者たちが生活している。年齢を重ねるにつれて、外出の機会も減るので、ますます被曝のリスクは増える。

一般論から言えば、電磁波の強度は、アンテナの直下よりも、周辺の方が強い。しかし、街中にはビルが林立しているので、電磁波が反射することが頻繁で、どの位置で電磁波が最も強くなるかは、実際に測定してみなければ分からない。

もちろん基地局が立ったマンションの住民が深刻な健康被害を受けた例は実際にある。沖縄の新城医師の例である。

(参考記事:携帯電話基地局について)

◇携帯基地局の設置に規制を

さて、目黒区のグランダ八雲のケースは、ビルの所有者とホームの経営者が異なるという特徴がある。

ビルのオーナー  :藤田商店(日本マクドナルドの創業者)

老人ホームの経営者:ベネッセ

電話会社:NTTドコモ

改めて言うまでもなく、基地局の設置を予定しているのは、NTTドコモである。この場合、法的に見れば、NTTドコモは藤田商店の承諾を得れば、基地局の設置が出来ることになるらしい。(厳密な事は不明)

実際、トラブルが発生した後、ベネッセは、住民の共同代表に対して、次のようにみずからの立場を説明している。内容証明を引用してみよう。

弊社は、藤田商店よりホーム建物を貸借している立場であり、本来、本計画に関する判断自体に関与できる立場にはないものの、ホーム運営者として本計画に反対する旨の意向を示してきたという状況でございます。

ホームの入居者に確認したところ、ベネッセの主張は真実である。実際、基地局が立ったところで、ベネッセには何のメリットもない。入居者の健康被害が発生すれば、対処しなければならないので、職員の仕事も増える。かりに入居者が施設から退去する事態に至れば、金銭の補償問題も浮上してくるだろう。

このような複雑なトラブルこそ、政治家が先頭に立って解決すべきことであるが、基地局問題についての認識が浸透していないのが現状だ。もっと国会議員の数を増やし、住民の参政権を広げていくことが解決への道だ。

携帯基地局の設置は、厳しく規制しなければならない。